一般社団法人北海道産学官研究フォーラムは13日、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震に備える防災・減災セミナーを苫小牧市文化交流センターで開いた。オンラインも含め約160人が参加。学者や行政、産業界の各分野から今後の防災対策に向けた提言がなされた。
最初に、北海道大学広域複合災害センターの岡田成幸客員教授が基調講演。道の減災目標設定ワーキンググループ座長を務める岡田客員教授は「早期避難を期待した対策だけでは災害を防ぎ切れない」と指摘。逃げ遅れる人を救うためにはハード面の整備も必要とし、「防災資本は未来への投資」と訴えた。さらに「住民の理解と実行がなければ対策に効果は出ない」と住民参加の重要性を説いた。
道と苫小牧市の防災担当職員は、新たな津波浸水・被害想定を踏まえた防災訓練やハザードマップの改訂作業などについて報告。日本技術士会北海道本部防災委員会の城戸寛委員長は「災害前には減災対策を、発災後はどうやって速やかに復旧復興を図るかという視点でアドバイスできたら」と語った。参加者からは「専門家の知見を聞ける機会を今後もつくってほしい」といった感想が出ていた。
同フォーラムは産学官の連携を推進する狙いで2017年に設立し、会員企業は現在約120社。防災・減災に特化したセミナーは今回で10回目を数える。