北海道経済産業局は、12月の道内経済概況を発表した。総括判断は「持ち直しの動きに弱さが見られる」とし、6カ月連続で据え置いた。主要項目別では公共工事を下方修正したが、個人消費と観光の2項目の判断を引き上げた。
10月の経済指標を中心に11月以降の企業・団体へのヒアリングを加味して判断した。先行きについては「新型コロナウイルス感染症の影響、国内経済の動向等を十分注視する必要がある」と指摘している。
項目別では、個人消費の判断を前月の「一部に弱さが残るものの、持ち直しの動きが見られる」から「持ち直しの動きが見られる」へ上方修正した。10月の個人消費が、家電大型専門店を除き他の業態で前年を上回ったため。企業からは「引き続き行動制限がなかったことから、客数が増加した。ブランド品などの高額商品は堅調に推移している。インバウンド(訪日外国人旅行者)消費も少しずつ回復している」(百貨店)との声が上がっている。
観光も前月の「持ち直している」から「緩やかに改善している」へ4カ月ぶりに判断を引き上げた。10月の来道客数が前年同月比64・7%増と12カ月連続で前年を上回ったため。道内外国人入国客数も1855人あった。ヒアリングでは「10月は観光が落ち着く季節だが、全国旅行支援の効果もあり、平日でも道内外の観光客が多く見られ、土産店の売り上げも増えた」(観光協会)と分析する声も出ている。
一方、公共工事は前月の「増加した」から2カ月ぶりに「減少した」へ下方修正した。10月の公共工事請負金額が前年同月を国が上回ったものの、道と市町村が下回ったため。
生産活動は「弱含みとなっている」と6カ月連続で判断を据え置いた。10月の鉱工業生産が前月比1・6%増と2カ月ぶりに上昇したが、前年同月比では1・1%減と6カ月連続で低下したため。化学・石油石炭工業など10業種は好調に推移した一方、輸送機械工業など5業種は低調だった。
住宅建設、民間設備投資、雇用動向の3項目の判断も前月から据え置いた。