札幌市の秋元克広市長は20日、東京都内で記者会見し、同市が目指す2030年冬季五輪・パラリンピック招致に関し、市民らを対象とした意向調査を再び実施する方針を明らかにした。
今夏以降に東京五輪を巡る汚職・談合事件が発覚した影響で、札幌招致の機運は高まっていない。秋元市長は日本オリンピック委員会(JOC)との協議後、「大会運営面を見直して世の中に示さなければ前に進めない状況。その認識で一致した」と説明。代理店への委託業務の在り方などを見直して来年度の早い段階で方針を示し、市民と北海道民への意向調査を改めて行うと述べた。
調査の結果次第で招致から撤退する可能性について、秋元市長は「民意を尊重する」と述べるにとどめた。全国調査や住民投票も選択肢とした。
30年五輪を巡っては、国際オリンピック委員会(IOC)が開催地選定の無期限先送りを6日に発表。秋元市長は「検討の時間をもらえたとも言える」と話し、当面は積極的な機運醸成活動を休止し、国民の不信感払拭(ふっしょく)に注力する考えを示した。体調不良で会見を欠席したJOCの山下泰裕会長に代わって出席した籾井圭子常務理事は「より多くの方にご理解、ご賛同をいただくことが招致を進める前提」と強調した。
札幌市は3月に市民と道民への意向調査を実施。市民への郵送調査では「賛成」「どちらかといえば賛成」が52%だった。30年五輪にはソルトレークシティー(米国)やバンクーバー(カナダ)も関心を示している。