帝国データバンク札幌支店は、2023年10月1日から始まる「適格請求書等保存方式」(インボイス制度)に関する道内企業意識調査結果を発表した。7割強の企業が内容を「理解している」と回答したが、「理解していない」企業も2割に。制度開始後の免税事業者との仕入れ取引については40・6%の企業が「分からない」と対応を決めかねている。
インボイス制度は、消費税の複数税率に対応した仕入税額控除の方式。登録は必須ではないものの、適格請求書を交付するためには、適格請求書発行事業者の登録申請を行う必要がある。制度開始直後から仕入税額控除を受けるためには、来年3月31日までに登録申請を行わなければならず、事業者の検討・対応が急がれている。
インボイス制度の理解度については、76・2%の企業が「理解している」と回答。ただ、その内訳は「ある程度理解している」が59・1%で、「十分に理解している」は17・1%にとどまっている。一方、20・3%の企業が「理解していない」と回答し、そのうち「言葉も知らない」も0・2%あった。
企業からは「顧問会計事務所の指導を受けながら社内方針、社内周知、取引先の登録申請状況を確認する予定」(建設)といった声が聞かれる一方、「大きな変化の割には浸透していない感じがする」(サービス)との意見も。制度開始が迫る中、十分な理解が進んでいない現状も浮かび上がった。
自社におけるインボイス制度の登録状況については、「22年9月時点までに申請済み」とした企業は51・2%。「22年10月から23年3月までに申請予定」(23%)を合わせると、22年度中に申請する企業は7割を超える見込み。
自社の取引先のインボイス制度への登録状況について把握しているかに関しては、「制度開始までに確認予定」(44・5%)、「現在、確認中」(22・6%)、「取引先の登録状況を確認済み」(4・1%)を合わせ、7割超の企業が確認する意向だ。
制度開始後における自社と免税事業者との仕入れ取引については「経過措置期間は取引する」(27・8%)、「経過措置期間にかかわらず取引する」(25・3%)と、経過措置期間においては53・1%の企業が取引を行うと回答。一方、6・3%が「取引しない」としたほか、40・6%の企業が「分からない」と回答した。現時点では免税事業者との取引に関して対応を決めかねている様子も伺える。
調査は10月18~31日、道内企業1181社を対象に実施。557社から回答を得た。回答率47・2%。