苫小牧署管内 2022事件・事故 上 過去最少ペース 管内の交通事故死2人

苫小牧署管内 2022事件・事故 上
過去最少ペース 管内の交通事故死2人
役場内に開設した運転免許証の自主返納窓口で高齢者に対応する苫小牧署員=6月、白老町役場

 苫小牧署管内(東胆振1市4町)で2022年に交通事故で亡くなった人は29日現在、前年同期比7人減の2人。21年に全道警察署別で最多の9人が犠牲になってから一転、道交法が施行された1960年以降で最少を更新する見通しだ。ただ、一歩間違えば重大事故に発展したケースも少なくなく、同署は年末年始も取り締まりを強化するなど、気を引き締める。

   今年、管内で発生した人身交通事故は26日時点で、前年同期比40件減の398件。負傷者数は同17人減の480人で、2年ぶりに前年を下回る見込みだ。

   市町別の事故発生件数の内訳は▽苫小牧市366件(前年同期比29件減)▽白老町12件(同17件減)▽安平町9件(同1件減)▽むかわ町7件(同3件増)▽厚真町4件(同4件増)となっている。

   最初の死亡事故は6月11日午後3時ごろ、同市澄川町の住宅街で起きた。70代男性が運転する乗用車が民家の壁に塀を突き破って激突し、大破。民家の住民にけがはなかったが、男性は骨盤骨折などにより、搬送先の病院で亡くなった。アクセルとブレーキの踏み間違えが原因とみられる。

   2件目は12月3日午後4時半すぎ、安平町早来新栄の国道234号の橋上で発生。軽トラックが対向車線のトラックと正面衝突し、軽トラックの60代男性が頭を強く打って死亡した。同署によると事故当時、路面は凍結しており、軽トラックがスリップした可能性が高いという。

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   高齢者絡みの事故が目立つ中、同署は自治体と連携し、車の運転に不安を感じている高齢ドライバーに運転免許証の返納を促す活動を継続。近年は交番・駐在所に加え、安平町や白老町の役場などに臨時の返納窓口を開設してきた。この他、地域包括支援センターと意見交換したり、署員が家族からの相談に対応したりした結果、一定数の自主返納につながった。

   渡ろうとする歩行者がいる横断歩道の手前で、一時停止を怠ったドライバーの取り締まりも強化した。計9人が亡くなった昨年の死亡事故を分析すると「人対車」に分類される事故が全体の約半数を占めたためで、同署交通1課の伊藤昌彦課長は「人対車の事故は重傷化のリスクが高い。運転手は、歩行者に細心の注意を払わねばならない」と訴える。

   今年の人対車の人身事故は26日時点で同10件減の43件だが8月下旬、同市桜木町の幹線道路交差点で、横断歩道を青信号で歩いていた市内の70代男性が右折してきた乗用車にはねられ、肩などを骨折。今もリハビリ中で、男性は「当時は死ぬと思った」と振り返る。

   ドライバーは市内に住む60代の介護職員で、自宅や入院先を訪れ、謝罪を重ねる姿に男性は「(重大事故を起こすと)加害者も人生を棒に振ることになる」と複雑な心境を吐露。外出時は今まで以上に車の往来に注意するようになったと明かす。

   年末年始は飲酒の機会が増えるため、同署は横断歩行者妨害などに加え、飲酒運転の取り締まりにも力を入れ、事故防止を促す。