近未来への道筋付ける 苫小牧市岩倉市長インタビュー

近未来への道筋付ける 苫小牧市岩倉市長インタビュー
「懸案の中心街活性化に取り組みたい」と語る岩倉市長

 苫小牧市の岩倉博文市長は、苫小牧民報社のインタビューで今年1年を振り返り、2023年の抱負を語った。6月の市長選で5選を果たし、「最後のチャレンジ」として5期目に挑む中、中心街再生など積み残した課題の解決や脱炭素社会実現に意欲を示した。

   ―今年はどのような1年だったか。

   新型コロナウイルス感染流行がいつ終息するか分からず、引き続き市政運営や市民生活、企業活動に影響をもたらし、不安の度合いも高まった1年だった。一方、脱炭素社会の実現が課題となる中、苫小牧CCUS・ゼロカーボン推進協議会の動きを本格化させることができたと思う。最近の話題としては、10月にプロ野球のドラフト会議で苫小牧ゆかりの選手2人が1位指名された。人口17万都市で同じ年に2人が1位指名されるのは快挙であり、大きな拍手を送りたい。

   ―新型コロナ感染拡大や物価高などに市はどう対応してきたか。

   今年だけで4回補正予算を組み、コロナや物価高騰対策などで国、道の交付金事業や市独自の支援策を打ち出してきた。2年前から感染拡大防止、地域経済対策、市民の健やかな日常という重点軸を掲げて事業に取り組んできたところだ。これからも、できるだけスピーディーに支援策を展開しなければならない。国の補正予算の具体的な中身を確認し、来年2月の定例市議会より早い段階で臨時議会を開き、さらなる支援事業を示すことも想定している。

   ―懸案の中心市街地再生にどう取り組むか。

   来年も都市再生コンセプトプランの具現化に向けた事業をできる範囲で実施したい。今年の反省を含めて、もう少し効果的なイベントなどを企画し、にぎわい創出や地域活性化につなげたい。CAP(まちなか再生総合プロジェクト)で示した施策で、中心市街地の居住人口を増やすことなど、もっとやらなければいけない事業がある。経済界やさまざまな方に理解を頂き、まちづくりを進めていきたい。

   ―脱炭素社会に向けた取り組みは。

   市としては23年度以降、大作戦シリーズの位置付けでゼロカーボンをテーマにした事業を検討しており、全市的運動を通じて脱炭素化を後押ししていきたい。苫小牧では国家事業の二酸化炭素回収・貯留技術CCS実証試験が展開され、さらに回収した二酸化炭素を有効利用するCCUS実証事業が進められている。CCUS・ゼロカーボン推進協議会には市内の企業などで構成する3部会が設置され、今後、温暖化対策の動きがより進むだろう。

   ―来年は苫小牧港の開港60年を迎えるが。

   1963年に第1船が苫小牧港に入港して以来、海上取扱貨物量の伸びと市の人口カーブがほぼ一緒となっている。苫小牧の発展の歴史は港の存在がいかに大きかったかを物語る。さらなる成長や発展を目指す上で、時代の要請を踏まえて、港の新たな方向性を示すことが重要だ。今年は東港周文埠頭(ふとう)に国の予算が付いた。苫小牧港や北海道全体の発展にとって大きなことだ。

  ―2023年の抱負を。

   集大成と位置付けた最後の任期を頂き、決意を新たに中心市街地の活性化など、積み残し案件の解決に臨みたい。また、地球環境対策の脱炭素社会形成を含めて、苫小牧の近未来に向けた道筋を付けるため、来年も一生懸命に市政のかじ取りに励みたい。