道知事選始動 鈴木氏が再選出馬表明 野党陣営は来月擁立

後援会会合で再選出馬の意向を表明した鈴木知事(中央)。右が大谷喜一会長代行、左が長内順一会長補佐=15日、札幌プリンスホテル

 鈴木直道知事(41)が15日、再選出馬の意向を表明したことで、道知事選(3月23日告示、4月9日投開票)が本格的に始動した。陣営は2期目の政策づくりに着手しており、今月下旬の記者会見で発表。組織体制も固めて、2カ月余りに迫った告示へなだれ込む。一方、野党陣営も立憲民主党が主導した候補擁立作業は詰めの段階に入っており、2月上旬の発表を目指す。過去に激戦を繰り返してきた統一地方選の「天王山」は前回同様、事実上の与野党一騎打ちの構図となることが確実な情勢だ。

   ◆果敢に挑戦

   「北海道が持つポテンシャル(潜在能力)を最大限発揮して、価値を押し上げていくためには果敢に挑戦していかなければならない」

   15日に札幌市内で開いた後援会「活力あふれる北海道の未来を実現する会」(似鳥昭雄会長)の会合で、幹部らに再選出馬の決意を表明した鈴木知事。終了後、記者団の取材に、こう力を込めた。

   非公開で開いた会合には道経連の真弓明彦会長、道商連の岩田圭剛会頭、JA道中央会の小野寺俊幸会長ら19の支持団体の幹部らが顔をそろえた。席上、1期目の「主な実績」の資料が配られたほか、選対本部の組織図、2月の事務所開き、3月の総決起集会の日程も示されたという。

   前回(2019年)の知事選を巡っては、自民党道連内の候補選考レースが先鋭化。一時は官僚擁立の流れに傾いたものの、公明党の積極支援もあり、逆転で候補を勝ち取った鈴木知事。自民道連の一部になお、しこりは残るものの今回は「反鈴木」の動きはない。

   無所属で出馬する鈴木陣営は前回同様、国政・道政与党の自民、公明両党に推薦要請する方針。日本維新の会道総支部代表の鈴木宗男参院議員が代表を務める地域政党「新党大地」も推薦する意向だ。

   ◆野党も詰めの段階

   「一日も早く候補を決めて、政策を戦わせる対抗軸を示していく」

   2023年の仕事始めの4日。道庁前で本道選出の国会議員らが街頭演説会を開いた立憲民主党道連。梶谷大志幹事長は、記者団に擁立作業の現状を説明した。

   立憲道連は、国民民主党道連、連合北海道、北海道農民政治力会議の「4者会議」を昨年11月に立ち上げ、対立候補の選考を進めている。女性官僚が一時、急浮上したが頓挫。現在は現職・元職の国会議員、国政選挙経験者も対象に入れ、絞り込みは詰めの段階に入っている。出馬への環境整備が最大の焦点となっており、2月上旬までに正式に出馬要請、発表する構えだ。

   作業は遅れ気味に推移しているが、前回野党統一候補となった元衆院議員の石川知裕氏が出馬会見したのは2月7日。過去には3月の出馬表明もあった。野党陣営の幹部からは「現職の2期目で強いのは当たり前。なかなか候補が定まらないのは想定内でもある」との声も漏れる。

   知事選には、政党の推薦を受けない無所属新人の門別芳夫氏(61)=岩見沢市=も出馬表明している。

   ◆激戦の歴史

   道知事選は戦後、19回行われ、自民系と非自民系が激しい選挙戦を繰り広げてきた歴史がある。主要政党の相乗り選挙となった1999年を除くと、自民系が11勝、非自民系が7勝。6人の乱立選挙となった03年に高橋はるみ氏(現参院議員)が小差で鉢呂吉雄氏に競り勝って以降、自民系が5連勝している。

   リベラル色も取り入れた独特の保守道政の継続を目指す鈴木陣営。5期20年続く保守道政からの転換の必要性を訴える野党陣営。事実上の与野党一騎打ちの構図が定まるのは2月上旬とみられ、前回同様に超短期決戦の流れが加速している。

  (編集委員・札幌支社長、広江渡)