苫小牧労働基準監督署管内(東胆振1市4町と千歳市)の死亡または4日以上の休業を伴う2022年の労働災害件数(速報値)は、前年比324件増の850件に上り、平成(1989年)以降で最多を更新した。新型コロナウイルス感染に伴う休業が全体の4割を占めており、長引くコロナ禍が大きく響いた。
管内の年間の労災件数は90年代に600~700件台が続き、91年には801件に達した。その後、2000年前後から500件台で推移し、08年以降は500件を割ることも多かった。しかし、コロナ禍が直撃した20年に596件、21年には583件と600件に迫り22年は31年ぶりに800件を超えた。
事故の主な内訳は、コロナ感染を含む「その他」が354件(前年比300件増)と激増。次に「転倒」139件(同7件減)、「墜落・転落」71件(同2件減)、「動作の反動・無理な動作」60件(前年と同数)、「挟まれ・巻き込まれ」59件(同1件増)が続いた。
死亡労災は5件で前年と同じ。そのうち、重機やフォークリフトなどの操作中や仕事中の交通事故といった車両の絡む事例が4件を占め、労基署は「車両を使う場合は一つのミスが大きな被害につながる。安全な取り扱いを徹底してほしい」と訴える。
業種別に見ると、医療機関や介護施設などの保健・衛生業が345件(同285件増)で最多。続いて製造業118件(同26件増)、道路貨物運送業81件(同2件増)、建設業64件(同2件減)、卸売・小売業63件(同3件増)―の順。
増加の主な要因にはコロナに伴う休業を指摘。一方、建設業では土木工事業が同9件減、建築工事業が同3件減と全体の減少に寄与した。工事現場での積極的なICT(情報通信技術)活用でリスクを減らす動きや働き方改革が進み、職場に余裕が生まれたことなどが考えられるとしている。