新型コロナ あす初確認から3年 道内死者4300人超、130万人感染

道独自の「緊急事態宣言」を全国で初めて発出し、道民に外出自粛を要請した鈴木知事=2020年2月28日、道庁

 新型コロナウイルスの感染者が、道内で初めて確認されてから28日で3年を迎える。これまでに道内では感染者が延べ130万人を超え、死者も4300人超と多くの命が失われた。八つの大きな感染拡大の波を繰り返し、経済も大きな打撃を受けた。そんな中、政府は5月8日に新型コロナの感染症法上の取り扱いを「2類相当」から季節性インフルエンザと同等の「5類」へ引き下げる方針を決定。本格的な「ウィズコロナ」時代を迎える。

   ◆政治決断

   「3年前、私も知事就任1年目だった。全国に先行する形で感染が拡大した。知見も情報もない、前例もない、という状況の中での対応となった」

   先日の記者会見。鈴木直道知事は2020年2月28日、道独自の「緊急事態宣言」を全国で初めて発出した当時を振り返った。

   法的根拠のない中での道民への外出自粛要請。一部に批判も渦巻いたが、「政治は結果責任。責任は私が取る」と前例のない取り組みを決断。結果的に感染拡大を封じ込めた。

   この北海道の動きを安倍政権(当時)も踏襲。言葉もそのまま使用し、その後の全国各地での特措法に基づく「緊急事態宣言」の発令につながっていく。

   道内ではこの3年間、特措法に基づく「緊急事態宣言」を通算3度(道独自を含めると4度)、「まん延防止等重点措置」は通算4度発令された。岸田政権が行動制限のない感染対策にかじを切ったため、22年春以降は「緊急」も「まん延」も発出されていない。

   ◆流行の波

   これまで新たな変異株が本道にも次々に襲来。八つの流行の波を繰り返した。

   20年春の第1波では、肺炎が悪化する例が目立ったため「新型肺炎」と呼ばれた。従来株の流行が3度続いた後、21年春の第4波ではアルファ株、同夏の第5波では重症化率の高いデルタ株が流行。22年の第6波以降は感染力が強いオミクロン株に置き換わり、感染者が爆発的に増えた。

   道内でも22年(1~12月)は延べ117万583人が感染し、2580人が死亡。21年に比べ感染者数は約24・4倍、死者数も約2・5倍と大幅に増えた。

   現在は全数把握をやめて、自己検査が推奨されていることともあり、実際より少ない感染者しか把握できていない可能性も指摘されている。

   ◆ターニングポイント

   道内は現在、全国に先行して昨年10月下旬から襲来した第8波のピークが過ぎ、人口10万人当たりの新規感染者数は全国の都道府県では最も低い水準にある。

   そんな中、岸田政権は5月8日から新型コロナウイルスを「5類」に引き下げる方針だ。「5類」に移行した場合、特措法に基づく緊急事態宣言などによる飲食店の営業制限や外出自粛要請、感染症法に基づく感染者の自宅療養の要請など、さまざまな行動制限の法律上の根拠がなくなり、大幅に緩和される。さらに首相は▽医療提供体制や、全額公費で賄われている医療費を自己負担に段階的に移行▽ワクチン接種も同様に自己負担への移行を検討▽屋内でのマスク着用の緩和の検討―を指示している。

   鈴木知事は「コロナ対策の現場は都道府県であり、市町村。早急に国の考え方を示してもらうことが重要になる」と注文をつける。屋内でのマスク着用の緩和に関しても、科学的根拠を国に求める。

   コロナ対策の大転換の今春。本格的な「ウィズコロナ」へかじを切る政権。知事は「5類になったからといって何もかもが、ばら色ではない。コロナがなくなるわけでもない」と指摘。全国知事会とも連携し、道民の「命と暮らしを守る」新たな闘いを模索する。

  (編集委員・札幌支社長、広江渡)