岡山家具が創業70周年 苫小牧 こだわりの輸入家具提供 道内外にファン

岡山家具が創業70周年 苫小牧
こだわりの輸入家具提供 道内外にファン
70年の歩みを語る岡山さん

 苫小牧市表町の岡山家具が今年、創業70周年を迎える。ソファやテーブルなど輸入家具を豊富に取りそろえ、店のファンは道内外に広がる。節目の年に社長の岡山則明さん(74)は「時代や家造りの変化に合わせながら、良い商品を提供し続けたい」と意気込む。

   同店は岡山さんの父誠二郎さんが、戦後の復興から高度経済成長へ向かい始めた1953年12月に創業。当時は市本幸町に工場を持ち、職人が製造した家具を店で販売したり、市内の企業や役所などに納めたりしていた。その後、製造をやめ、販売専門に変えた。

   洋画の世界観に憧れていた岡山さんは東京の大学に通っていた頃、「海外へ旅行で出掛けるのは大変。外国の家具がそろえば、家で海外の雰囲気を楽しめる」と考え、卒業後に東京の大手家具店に就職。輸入家具の外商を担当した。

   外国の素晴らしい家具を北海道でも販売したい―と、20代半ばから家業の家具店で働き始めた。父の方針とぶつかりながらも、自身の信念を貫いて洋品を取り扱い、95年に社長に就任すると、商品構成を本格的に輸入家具へ転換した。日本製とは異なる魅力のインテリア家具や雑貨は客の心をつかみ、市外へ転居後も引き続き足を運んでくれる人は少なくない。

   昨年、父が築いた店の歴史に思いがけず触れる経験をした。開業初期に同店が製造した椅子を愛用してきた顧客から、引き取ってほしいと依頼を受けた。岡山さんは「大切に使ってもらったからこそ、70年近く前の商品が手元に戻ってきた」と感慨深げに話し、「お客さまとの縁は一生の財産。これからも大切にしていきたい」と力を込めた。