結成30周年「樽前ばやし」 6月に記念ライブ 苫小牧

結成30周年「樽前ばやし」 
6月に記念ライブ 苫小牧
いけまぜのプレ大会で演奏する苫小牧創作芸能研究会「樽前ばやし」=昨年7月、北洋大学(提供)

 苫小牧創作芸能研究会「樽前ばやし」は今年、結成30周年を迎える。日本三大曳山祭の一つ、秩父夜祭(埼玉県秩父市)での「秩父屋台囃子(やたいばやし)」に感銘を受けた苫小牧市民有志が立ち上げた祭りばやしの演奏グループ。節目を記念して新曲を制作中で、6月には記念ライブも計画する。

   苫小牧駅前通商店街振興組合青年部が30年前、みやのかわ商店街振興組合との交流事業で秩父市を訪問した際、メンバーが偶然、街中で見掛けた秩父屋台囃子に感銘を受けたことが結成のきっかけ。

   夜の街並みに自然と溶け込む屋台囃子の情景に心を奪われ、一行は「地域を盛り上げるため、苫小牧市にも祭りばやしの文化を根付かせたい」と、すぐに会の立ち上げに動きだした。

   市内の一区町内会や駅前通商店街振興組合から20人ほど有志を募り、1993年12月に創作芸能研究会を結成。和太鼓などの道具は市の助成金などを活用してそろえ、秩父屋台囃子の関係者から譲り受けたカセットテープの音源を参考に演奏技術を磨いた。

   ただ、メンバーは素人ばかり。人前で演奏できるレベルに達するまでに2年ほどを費やしたが、しの笛や打楽器の「チャッパ」も加えた見た目も楽しい演奏は徐々に話題に。95年のたるまえサンフェスティバルを皮切りに樽前山神社例大祭、とまこまい港まつりなどさまざまなイベントに呼ばれるようになり、コロナ前は年10~20公演をこなした。

   現在は学生や会社員、公務員など20~50代の男女計8人で活動。宮太鼓や締太鼓、桶胴太鼓など大小30以上の太鼓を使い分ける。コロナ禍で2020、21年の公演依頼はゼロだったが、毎週月曜日の練習を地道に続ける。

   苫小牧出身のメンバーで、旭川市の看護学校に通う堀抜優さん(22)は昨年末の帰省時、久しぶりに練習に合流。「樽前山神社の祭りで見た演奏が格好良く、高校1年の頃から参加している。(演奏には)苦労もあるが、楽しさの方が大きい」と笑顔を見せた。

   同会は昨年7月、北洋大学で開かれた障害児や家族、ボランティアが交流を深める「いけまぜ夏フェス」プレ大会のステージに登場。約3年ぶりの公演で、和太鼓や鐘を使って4曲を演奏した。苫小牧東高校書道部の書道パフォーマンスとの共演で、会場を盛り上げた。

   小坂龍三郎太鼓長(47)は「多くの人に見て、喜んでもらえると、演奏する側の大きな励みになる」と語る。

   レパートリーは秩父屋台囃子をアレンジした「屋台ばやし」など10曲を数えるが、オリジナル曲は海の穏やかさと激しさを大小の太鼓で表現する「太平洋(うみ)」1曲のみ。30周年を記念し、今回は「樽前山(やま)」と題した楽曲を制作することにした。

   新曲では樽前山の厳しい自然のイメージを表現したい考え。

   記念ライブは、普段練習場所にしている市内北光ビルの空き店舗で、6月上旬に実施する。元メンバーにも演奏への参加を求め、まずは関係者に新曲をお披露目。秋口には、市民向けのコンサート開催も模索する。

   小坂太鼓長は「活動を発展、持続できるよう何とか記念コンサートを成功させたい」と意気込む。