日本製紙(東京)と総合商社・双日(同)の共同出資会社「勇払エネルギーセンター合同会社」が日本製紙旧勇払事業所跡地(苫小牧市勇払)で建設を進めていた「勇払バイオマス発電所」は2日、営業運転を開始した。燃料を木質材のみとする発電所としては国内最大級。出力は7万4950キロワットで、約16万世帯の年間電力消費量に相当する。日本製紙は「二酸化炭素の排出量低減につながる木質バイオマスエネルギーの活用を進め、地球環境に貢献したい」としている。
勇払バイオマス発電所の建設計画は、2020年1月で洋紙生産を停止した旧勇払事業所に代わる新規事業として浮上。勇払エネルギーセンター合同会社が約7万平方メートルの用地で同年4月から施設の建設に取り掛かった。
整備した建物は木質チップ供給棟、チップなどを燃焼させるボイラー棟、発電装置のタービン棟など7棟で、延べ床面積は約1万平方メートル。建設事業費は非公表。日本製紙が設備の運転や保守を担う形で、昨年9月から試運転を行っていた。
燃料は主に海外から調達する木質チップとパームヤシ殻のほか、建設用に適さない木材や間伐材など道内の未利用材を燃料にする。北海道電力に全量売電し、運営に携わる人員は約30人。年間の売電収入は非公表としている。
日本製紙広報室は「成長が見込めるエネルギー事業は、当社の大きな柱となり得る」と期待し、「製紙工場で培った発電の技術やノウハウ、木質バイオマス調達力の強みを生かし、電力の安定供給と北海道の発展に寄与していきたい」としている。