出産直後の男児を殺害し、千歳市のJR千歳駅構内のコインロッカーに遺棄したとして殺人と死体遺棄の罪に問われた住所不定、無職小関彩乃被告(23)の判決公判が3日、札幌地裁であった。懲役8年の求刑に対し、井下田英樹裁判長は「未来ある生命を奪う重大な犯行」としながら「酌量すべき事情があることは否定できない」とし懲役5年を言い渡した。
判決によると、小関被告は昨年5月16日、札幌市中央区のホテルで出産したばかりの男児を湯の張った浴槽に沈めて窒息死させ、同31日、コインロッカー内に遺体を遺棄した。
判決理由で井下田裁判長は「交際男性との関係を維持するため」などと殺害動機を認定し、「自己中心的で身勝手」と指摘。死体遺棄も「事件を発覚しないよう死体を隠したいという強固な意思がある」とした。
一方、誰にも相談せずに1人で出産し、肉体的、精神的負担がかかる状況下で「冷静な判断が容易ではなかった」と言及。被告が学生時代に遭ったいじめや本人の特性などから自己肯定感が低く、自分を受け入れてくれる存在に依存しがちであった事情も考慮し、遺体を隠す際の行動は「場当たり的で、被告の特性が影響している」と述べた。
説諭で、井下田裁判長が「自分の生き方を考え直した上で、しっかり社会復帰を目指して下さい」と伝えると、小関被告は「はい、ありがとうございます」と涙ぐみながら応えた。