11年連続1億トン超え 前年比6・3%減 輸送量低下など影響 苫小牧港23年貨物取扱量

貨物取扱量が11年連続で1億トンを超えた苫小牧港

 苫小牧港管理組合がまとめた苫小牧港の港勢(速報値)によると、苫小牧港の2023年貨物取扱量は1億128万296トンで、11年連続で1億トンを超えた。1963年の開港以来、貨物量1億トン超の連続最長を更新。一方、前年比6・3%減で、前年に行われた国家石油備蓄の協調放出分が全減したのに加え、国際コンテナの取り扱い減少や、フェリーの機関点検による輸送量低下が影響した。

   取扱量の8割超を占める国内貨物は、前年比7・9%減の8495万8148トン。東港と秋田、新潟、敦賀(福井)の各港を結ぶ新日本海フェリーが23年7月~24年1月、船の機関点検により一部の便を欠航し、輸送量が低下したことなどが影響した。

   国内貨物の内訳は、苫小牧港から他港への移出が、6・9%減の4263万9481トン。品目別では「紙・パルプ」が4・8%減の192万110トン、「その他の石油」が9・3%減の176万3769トン、「重油」が6・3%減の133万2012トン、「完成自動車」が9・8%減の2756万452トンなど。

   他港から苫小牧港への移入は、8・9%減の4231万8667トン。木材チップなどの「再利用資材」が21・4%減の89万1080トン、「製材」が22%減の14万262トンなどと落ち込んだほか、「その他の石油」が29・9%減の129万5120トン、「完成自動車」が9・5%減の3066万3542トンなど。移出、移入ともにフェリー貨物が減った。

   国際貨物は3・4%増の1632万2148トン。このうち輸出は33・9%減の91万6846トンと急落。22年は国内最大の国家石油備蓄基地、苫小牧東部国家石油備蓄基地の原油が、石油備蓄法に基づき初めて放出され、23年はその分がなくなったため例年並みの数字に戻った。

   輸出のうち、「水産品」は10・7%減の11万1418トン。中国が昨年8月から日本産水産物の輸入を停止している影響が表れた。「紙・パルプ」も32・7%減の9万3300トンで、中国向けの段ボール原紙が落ち込んだ。

   輸入は7・0%増の1540万5302トン。バイオマス発電用のパームヤシ殻を含む「再利用資材」が約4・7倍の49万2578トンと急増し、「原油」も17・5%増の627万7918トン。一方、石炭は北海道電力苫東厚真発電所(厚真町)の荷役設備の更新に伴い、11・9%減の377万3113トンだった。

   国際コンテナ貨物は20・7%減の23万5032TEU(1TEU=20フィートコンテナ1個)。同組合は要因として▽ウッドショック時に購入したストックのだぶつきによる建材などの輸移入減▽中国で段ボールの国内生産が増えたことによる紙製品の輸出減▽中国の輸入規制による水産品の輸出減―を挙げる。

   港湾管理者の岩倉博文市長はコメントで「前年と比べて少し落ち込んだが、11年連続で1億トンを上回り、北日本最大の港湾、物流拠点として役割を果たせている」と説明。一方、中国による日本産水産物の輸入禁止などを踏まえ「今後の動向に懸念材料もある」と指摘し、「引き続き港湾の取り巻く環境の変化、世界の風潮に取り残されることがないよう、先を見据えた港湾運営に取り組みたい」としている。