日本CCS調査(東京)は16日、苫小牧市内のホテルでCCS講演会を開いた。北大大学院獣医学研究院の坪田敏男教授が「クマに学ぶ その不思議な生態と生理」をテーマに講演。クマの生態と気候変動の関係について解説し、約200人が熱心に耳を傾けた。
坪田教授は「ヒグマは陸域と海域をつなぐ役割を果たしている」と指摘し「ヒグマが川で捕らえたシロザケの卵を食べ、残した肉の部分を森の植物が利用している」とヒグマが森づくりに一役買っていると解説。その上で「最近はそのサケが温暖化の影響で遡上(そじょう)してこない。エサが足りないので、人里に出てきてしまう」と地球温暖化が生態系を破壊している現状を訴えた。
カナダのホッキョクグマについても「氷が減少していることですみかは減り、狩りができなくなっている」と述べ、「温暖化でヒグマの生息域が北に拡大し、ヒグマとホッキョクグマの雑種が10件ほど確認され、雑種第2世代も生まれている。ホッキョクグマを守る唯一の方法は、温室効果ガスを減らすこと」と主張した。
その上で二酸化炭素(CO2)を分離、回収、貯留する技術「CCS」について「私たちがライフスタイルを見直し、CO2排出を減らす努力は必要だが、技術的に一つの方法だと思う」と話していた。
また、資源エネルギー庁の佐伯徳彦CCS政策室長が最新のCCS政策動向について講演した。