知事定例会見 ラピダス補助決定 支援総額1兆円に迫る 本道全体経済を活性化 自民長谷川氏へのお礼指示は「不適切」

知事定例会見 ラピダス補助決定 支援総額1兆円に迫る 本道全体経済を活性化 自民長谷川氏へのお礼指示は「不適切」
ラピダスのプロジェクト成功に向け「重要な年になる」と強調した鈴木知事=5日午後4時20分ごろ、道庁

 鈴木直道知事は5日の定例会見で、経済産業省が千歳市で次世代半導体工場を建設中のラピダス(東京)の2024年度事業計画を承認し、追加支援として同社に最大5900億円を補助すると2日に発表したことについて、「これによって、これまでの支援総額は1兆円(22、23年度の3300億円と合わせて計9200億円)に迫る状況になった」と説明。半導体製造の「後工程」の開発を含めて「プロジェクトの成功に向けた取り組みが、着実に前進していくものと期待している」と述べた。

   今年度は「ラピダスが目指す25年度のパイロットライン稼働、27年度の量産製造開始に向けた重要な年になる」と強調。道としては「引き続き国や市と連携し、インフラの整備、人材育成など必要な支援に迅速に取り組んでいく」との姿勢を示した。

   人材育成については「今年度は高校生を対象に実施した出前講座に加えて、小中学生を対象に半導体への理解を促す体験教育も新たに実施していく」と説明。3月に道が策定した「北海道半導体・デジタル関連産業振興ビジョン」(計画期間24~33年度)に基づき、取り組みを推進。「半導体の製造、研究、人材育成が一体となった複合拠点の実現に向けた取り組みを推進して、本道全体の経済の活性化と、持続的発展につなげていく年度にしていきたい」と述べた。

   また、知事は、自民党の長谷川岳参院議員(道選挙区)の言動について幹部職員に聞き取りを行い、威圧的と受け止めた職員が複数確認されたことを明らかにした。国の24年度予算成立時、長谷川氏に対して部長級職員からお礼の連絡をするよう組織的にメールなどで依頼していたことに関しては「特定の議員に対し、全庁一斉にお礼対応をするのは適切ではない。今後は改めてもらうよう(庁内に)指示した」と語った。

   小林製薬(大阪市)が製造した紅麹(こうじ)原料を含むサプリメントが原因とみられる健康被害が道内でも拡大していることについては「該当する商品を摂取した中で、体調不良を感じている人は病院を受診していただく。これが大事だ」と指摘。「必要な問い合わせ場所についても周知をさらに徹底し、皆さんの不安の解消に、しっかりと道としてサポートしていきたい」と述べた。