文化の違い理解促進 市、多文化共生地域づくり事業を本格化 季節行事で交流機会創出

文化の違い理解促進 市、多文化共生地域づくり事業を本格化 季節行事で交流機会創出
苫小牧市で昨年行われた国際交流事業。今年度から多文化共生地域づくり事業として展開する

 苫小牧市は今年度から「多文化共生地域づくり事業」を展開する。市内在住の日本人と外国人が、季節の行事や多言語を活用したプログラムなどを通して、相互の関係構築や異文化への理解を図る内容。21日には米国の伝統行事を体験してもらう第1弾のイベントを開催する。

   市は2023年度、誰もが国籍や文化的背景にとらわれず、地域の一員として共生できるまちづくりの基本的な考え方や方向性を示す「多文化共生ビジョン」を策定。理念「あなたと創る あなたとかがやく―苫小牧市は世界とつながる多文化共生のまち」に基づいて基本方針を掲げ、企業や学校、地域、行政などが取り組む項目をまとめた。24年度中に具体的な施策などを盛り込む「多文化共生指針」を策定する。

   この策定事業の一環で市は昨年10月、市内在住の日本人と外国人を対象にアンケートを実施したが、回答者の4割強が外国人に対して壁を感じ、理由として言葉や文化の違いを挙げている実態が明らかになった。外国人からは日本人と交流を求める声が多く、市もお互いの文化的違いなどに理解を深める事業により力を入れる。今年度は多文化共生地域づくり事業として130万円を予算化した。

   その皮切りとして21日に出光カルチャーパーク(末広町)で体験イベントを企画。キリスト教の復活祭「イースター」にあやかった催しで、米国出身の国際交流員ハニック・リリーさんが講師となり、親子でさまざまな場所に隠されたタマゴを探す「エッグハント」と呼ばれるゲームを楽しんでもらう。

   同イベントは既に定員30人の参加募集を締め切ったが、今後もハロウィーンやクリスマス、バレンタインなど季節にちなんだイベントを中心に計画しており、市は公式ホームページやラインを通して随時情報を発信する考え。市未来創造戦略室は「市内で外国人の割合は年々増えている。多くの人を呼び込んで、地域で日本人と外国人が触れ合う機会をつくりたい」と話している。