ラピダス、北大に分析拠点 小池社長「新卒100人規模採用」 連携協定 半導体人材を育成

ラピダス、北大に分析拠点 小池社長「新卒100人規模採用」 連携協定 半導体人材を育成
連携協定を締結した小池社長(右)と寶金総長 =5日、札幌市北区の北大構内

 千歳市の工業団地「千歳美々ワールド」に次世代半導体工場を建設中のラピダス(東京、小池淳義社長)と北海道大学(寶金清博総長)は5日、札幌市内で包括連携協定を締結した。2025年のパイロット(試作)ラインの稼働、27年の量産体制後を見据え、長期的な高度人材の育成や先端半導体研究などの連携をより強化する。

   北大構内で協定締結式を実施。小池社長と寶金総長が協定書にサインした。

   協定内容は(1)半導体人材の育成教育に関する事項(2)先端半導体研究等の研究協力に関する事項(3)施設・設備の利用に関する事項―の3項目。

   具体的には、ラピダスが製造した2ナノメートル(ナノは10億分の1)半導体の評価・分析を行う拠点を24年中をめどに北大キャンパス内に開設する。スタッフはラピダスの社員30~40人規模を計画。3交代で24時間体制で運営する。来年4月から評価・分析を開始する予定だ。学生たちには最先端設備を用いた評価工程を見学してもらう。

   この他、ラピダスから派遣されたエンジニアが実務家教員となる講義を北大で展開。北大による最新研究成果をラピダスの社員が学ぶ機会も提供する。

   また、ラピダスに関連する先端半導体研究開発事業を促進。北大の研究の特色を先端半導体研究に活用する。

   記者会見した寶金総長は「北大は2年後に150周年を迎える」と切り出し、「150年前に新しい産業を生み出すためにつくられた大学としての歴史がある」と強調。「われわれとしては12学部という国内最大で多様な学部を持っている」とし、「この財産をフルに活用し、ラピダスと連携して北海道の半導体産業の発展と社会課題の解決に貢献したい」と語った。

   小池社長は「今回の協定は、半導体産業を通じわが国の科学技術力の向上や人材の育成に資することを目的としている」と説明。22年8月に14人で会社を立ち上げて「従業員も段々増えて400人を超えた。27年の量産開始に向けて、さらに充実していく。来年から新卒を100人規模で採用する」と明かした。

   また、小池社長は「この北海道の地から世界へ、そして最先端の半導体技術を提供していくことが使命と考えている」と強調。協定締結により「北海道の活性化のみならず、わが国半導体の発展、世界に寄与し、次の世代の人たちも育てていきたい」と抱負を述べた。