苫小牧港発フェリーを代替輸送に 大雪時の新千歳滞留者解消

苫小牧港発フェリーを代替輸送に 大雪時の新千歳滞留者解消
新千歳の滞留者解消策を決めた連絡会議

 北海道エアポート(HAP、千歳市)と北海道運輸局などで構成する「大雪等による新千歳空港滞留者解消連携会議」は、新千歳空港で雪害時などに滞留者が発生した際の対応策として、苫小牧港発フェリーを活用した代替輸送などの周知を図ることを決めた。今年1月に羽田空港で起きた航空機事故に伴い、新千歳に残留者が生じたことを教訓に、関係機関・団体が従来対策の一部を見直した。

   1月2日の航空機事故では、事故の直後から同8日まで、羽田空港のC滑走路が閉鎖。新千歳でも遅延・欠航する便が相次ぎ、特に同2~4日は年始移動のピークに重なり、新千歳でも計458人が宿泊する残留者となった。これまで同会議では、新千歳での雪害などを想定して対応策を構築しているが、道外主要空港の影響による滞留者の発生は想定外だった。

   20日に連携会議を新千歳で開き、年始の残留者発生を教訓に、滞留者解消策の改善を決めた。フェリーを活用した代替輸送の他、羽田事故の際も実施されたJR北海道による特急や新幹線の臨時便増発などを、対応策として明確に位置付け、周知に力を入れることを確認。参加した構成員、オブザーバー約20人からは「滞留者を出さないよう情報の発信を」などと求める意見が上がった。

   このうち道南バスの髙本克彦営業部長兼輸送安全部長は「苫小牧方面のフェリー接続を、滞留者にどのような手法で告知するかが大事。乗り場に来てくれないと残念な結果になる」と指摘。苫小牧港フェリー利用促進連絡会の渕脇正広苫小牧港開発ターミナル事業部副部長も、本州へのフェリー航路について「認知度は十分ではない」と述べ、「(代替輸送で)フェリーがお役に立てるよう連携して取り組む」と意欲を見せた。

   同会議はHAPと道運輸局が2020年に設置し、バス、タクシー事業者らと雪害時の滞留回避体制を構築してきた。22年10月には、新千歳で大雪により滞留者が出ることを想定し、空港連絡バスを同空港―札幌・大谷地間に集約し、「緊急ピストン輸送力」を高めて滞留解消を図るなどの対策をまとめていた。