小口混載コンテナ支援終了 採算取れず利用低迷 苫港利用促進協

小口混載コンテナ支援終了 採算取れず利用低迷 苫港利用促進協
支援事業を終えた小口貨物の混載コンテナ輸送=2020年

 港湾関係の企業や団体で構成する苫小牧港利用促進協議会(会長・岩倉博文苫小牧市長)が2019年度から取り組んでいた、小口混載コンテナ輸送の支援事業が23年度で終了した。冷凍、冷蔵コンテナを使った輸出拡大を目的に始め、5年間で胆振管内の事業者3社が計74回輸出したが、採算が取れず混載の仕組みも思うように広まらなかった。

   同事業は、温度管理ができる冷凍、冷蔵コンテナを使い、道産の農産物や海産物などの小口混載貨物を月1回以上輸送する事業者に、最大で年400~500万円を支援する内容。各コンテナに小口の輸送品を詰め、空いたスペースに対しては補助金を出すことで、輸送事業者の増加や採算性の課題改善につなげる考えだった。

   19~23年度の5年間、苫小牧市内のナラサキスタックス(市晴海町)と苫小牧埠頭(市入船町)、栗林商会(室蘭市)の計3社が参加し、台湾、シンガポール、香港、マレーシアの四つの国と地域に計74回輸出した。輸出は19年度が28回だったが、20年度は14回、21年度は13回、22年度は12回と右肩下がり。23年度は計7回の輸送にとどまった。

   10日の同会総会で事業の報告が行われ、各社から「採算が取れない」と厳しい声。ナラサキスタックスは「初年度から29回サービスを実施したが、コンテナごとの積載貨物が増えず、ペイライン(損益分岐点)に到達できなかった」と振り返り、苫小牧埠頭も「仕向け地の多様化や品種別の温度帯設定など、より細かいサービスを展開し、顧客の裾野を広げないと非常に難しい」と意見を出した。

   同協議会事務局の苫小牧港管理組合によると、同事業は当初から5年程度を見込み、混載の課題などを洗い出す目的もあったという。同協議会会長代理の佐々木秀郎同組合専任副管理者は、小口混載を契機にコンテナを借り切る形に移行した事業者もいる成果に触れつつ、「小口混載をずっと続けるより、航空貨物などからの移行を支援し、海上輸送の良さを知ってもらいたい思いがあった。5年間の問題点を含め、まとめたい」と話した。