新千歳空港など道内7空港を管理・運営する北海道エアポート(千歳市、HAP)は28日、2024年3月期(23年度)連結決算を発表した。当期純損益は94億400万円の赤字で、19年8月の設立以来5期連続の赤字だが、赤字幅を104億8400万円圧縮。コロナ禍で打撃を受けた旅客需要が回復し、売上高は過去最高の490億1500万円に達した。一方、全国で深刻化する航空機燃料の不足により、海外航空会社5社が新千歳への新規就航を見送ったことを明らかにした。
同日、定時株主総会を開き、23年度決算を報告、承認した。同社は20年度に道内7空港の民営化を完了し、20年度以降はグループ連結決算を発表している。
売上高は前年比約31%(116億2400万円)増。道内7空港合計の乗降客数は23年度、前年度比25・7%増の2796万人に回復。新千歳の国内線で初めて2000万人を超えるなど、旅客需要が順調に回復したことで、着陸料などの航空収入やターミナルビルの賃貸収益、駐車場の事業収入などが伸びた。
ただ、旅客数は「コロナ前」の指標となる19年対比では7・4%減で、営業損益は23億5400万円の赤字(前年度は125億3900万円の赤字)、経常損益は99億1100万円の赤字(同201億1600万円の赤字)。赤字幅は大幅に圧縮したが、5年連続の赤字決算となった。
この結果、負債が資産を上回る68億9900万円の債務超過となった。ただ、現金・預金残高が前年比約50%(137億8500万円)増の412億1100万円あることに加え、負債のうち株主が所有し続けている社債が371億円で、実質的な資産超過とみなされることもあり、今後の空港運営などに大きな影響はないとしている。
蒲生猛社長は同日の決算発表で「本気になって頑張り、こういう数字になった。北海道の可能性が表面に出てきた」と手応え。債務超過には「経営が危ない、とかは一切ない」と言い切った上、今後の見通しについて「30年までに解消されれば」と説明。24年度は連結売上高558億円、営業損益は6億円の赤字を見込むが「今年度中にマイナスを消したい」と黒字化を目指す考えを強調した。
一方、航空機燃料が不足する問題で、新千歳でも国際線の新規就航が見送られたことに「構造的な問題。一朝一夕にわれわれが頑張って、前に進むようなことではない」と前置きしつつ「そんなことを言っていられない。地域でやれることをやっていかないと会社の根幹にかかわる問題。きちんと対応を進める」と述べた。