苫小牧市議会は議会のICT(情報通信技術)化を進める一環で、6月の定例会から資料を可視化する大型モニターを本会議場に導入した。議員が一般質問で提示する資料を映し出し、傍聴席やインターネット中継で、画面を通して見ることができる仕組み。質問する議員の横と傍聴席に1台ずつ置く試験的導入だが、議員らは「大きな一歩」と話している。
議会事務局によると、市議会で使用する資料はこれまで、議場を訪れる傍聴者に向けて、事務局が資料を相当数印刷して用意しているが、インターネット中継の視聴者は、閲覧することができなかった。
一方、市議会はICT化でペーパーレス化を進め、議会機能の強化や広報広聴の充実、より市民に開かれた議会を目指してきた。6月定例会から紙の資料配布を取りやめ、モニター設置でデジタル化を図った。
6月定例会では一般質問した25人のうち6人が運用。資料で地図や表を示しながら、理事者とのやりとりに臨んだ。
松井雅宏氏(改革フォーラム)は、言葉を通して議事録に残すことを前提としつつ、「目に見える形でやるのはいいこと。言葉では分かりにくい部分も、分かりやすくなってよかった」と喜んだ。
金沢俊氏(新緑)も「大型モニターの資料で見られることで、説明もより周りに伝わりやすい」と手応えをつかみ「今まで紙で用意していた事務局の負担軽減にもつながる」と期待する。
一方、モニターを議員の使用、未使用別に移動させるなど運用は手探り。議会事務局は「議会改革を進める中、できることからやってきた。試行錯誤しながら改良を進めたい」と話している
市議会のICT化はこれまで、行政創革プランの実践項目だったタブレット端末導入をはじめ、会議資料のペーパーレス化、常任・特別委員会のオンライン出席などを実現してきた。