事故原因の特定急ぐ 苫小牧西港フェリー座礁 船体調査

事故を起こしたフェリーに入る船舶事故調査官ら=3日、晴海埠頭

 苫小牧港・西港で2日未明、川崎近海汽船(東京)の八戸発苫小牧行きフェリー「シルバーブリーズ」(8901トン)が座礁した事故で、国土交通省運輸安全委員会の船舶事故調査官3人が3日、現地調査に入った。機器の不具合や人為的ミスなど考えられる要因を幅広く調べ、特定を急ぐ。一方、苫小牧海上保安署は引き続き、業務上過失往来危険容疑の可能性も含め捜査している。

   同調査官の現地調査は4日まで。初日の3日は午後1時半すぎ、西港晴海埠頭(ふとう)に移動し停泊中のフェリーを訪れ、船長を含む乗員数人から3時間にわたって事故時の状況の聞き取りを行った。位置情報などのデータの提出も受けたという。

   報道陣の取材に応じた大日方孝行主管調査官は「原因究明と再発防止対策がメインの調査。データをしっかり分析し、なるべく早く結果を示せるようにしたい」と語った。4日は残る乗員への聴き取りのほか、室蘭開発建設部苫小牧港湾事務所を訪れ、事故当時の現場の状況や消波ブロックの設計などについて照会した。

   一方、苫小牧海保は3日、小樽海上保安部の協力でカメラを装着したダイバーを潜水させ、フェリーの損傷状態を細かく調べた。苫小牧海保によると、浸水や油漏れはなく、自力航行は可能な状態ながら、船首や船底に複数の傷が残っていたという。水面下に設置され、船体を安定させる球状の突起「バルバスバウ」にも、へこみが見られた。船体の調査は4日以降も継続する。

   同海保によると、管内(苫小牧市、厚真町、むかわ町)で2014~23年の10年間に発生したフェリーの事故は5件。昨年12月に苫小牧港・東港周文埠頭付近で起きた別の船社のフェリー座礁事故では、事故から約4カ月後に当時の船長を業務上過失往来危険容疑で札幌地検苫小牧支部に書類送検している。この事故では船内に乗客はなく、浅瀬に一時乗り上げたが自力で離礁できる状況だった。