苫小牧市内の高校を来春卒業予定で就職を希望する生徒の売り手市場が続いている。2022年以降は9月末時点の内定率が8割を超え、9月16日に採用活動が解禁された今年も、前年とほぼ同じ高い求人倍率となっている。10月中にはほとんどの生徒が内定を得る見込み。
苫小牧公共職業安定所によると、管内(東胆振1市4町と日高町、平取町)の新規高卒者の有効求人倍率は8月末現在2・1倍で前年同期比0・06ポイントの減。管内19校の来年3月卒業予定者1577人のうち就職希望は415人で、高卒予定者を対象とした求人数は同11人減の873件。担当者は「製造業で求人が増え、建設業と飲食・サービス業はほぼ横ばい」としている。
苫小牧総合経済高校(池田隆校長)は卒業予定者92人のうち53人が就職希望。進路指導担当の小笠原聡教諭は「情報処理系と簿記会計系の国家資格を持つ生徒の採用実績があり、求人数が増えた」と分析。10月中に9割が内定を得る見込みで、「苫総経の強みが生かされてきた」と採用増に期待する。国際経済科3年の佐藤珠希さん(18)は金融機関の内定が決まり、「面接は何度も練習した成果があった。気を引き締めて社会人になる準備をする」と話す。
苫小牧工業高校(小山彰博校長)は卒業予定者200人のうち136人が製造業と建設業を中心に民間企業への就職を希望。求人数は870~880件ほどあり、北村繁則進路指導部長は「例年通り市内や近郊が多い」と語る。
地元建設会社に内定した建築科3年の佐藤力暉さん(18)は「現場を円滑に動かせるように、信頼される社会人を目指す」と喜ぶ。同じ会社の内定を得た建築科3年の小野優那さん(17)も「女性が少ない施工管理だが、コミュニケーション能力を発揮して現場で活躍したい」と意気込む。
苫小牧高等商業学校(猪瀨徹校長)は卒業予定者56人のうち38人が就職を希望している。進路指導部の藤原幸二教諭は「8割は地元志向。採用された企業で、生徒の勤勉さや能動的な姿勢が評価されている」と自信を見せる。
設備業で内定を得た総合ビジネス科3年の折居雄輝さん(18)は「先輩や仲間と良いものを作り上げ、達成感を味わいたい」と意欲を燃やす。サービス業に内定した塚田七海さん(18)は「社会で人の役に立ちたい」、遠藤依緒梨さん(17)は「笑顔を絶やさず頑張りたい」と目を輝かせた。