航路逸脱ないか監視 苫西港に新システム フェリー座礁事故の再発防止策 海保

航路逸脱ないか監視 苫西港に新システム フェリー座礁事故の再発防止策 海保

 海上保安庁は、苫小牧港・西港区に入港する船舶が通常の航路を逸脱していないかを監視するシステムを、苫小牧船舶通航信号所(市港町)に全国で初めて導入する。今年7月に同港区で発生したフェリーの座礁事故を受けての再発防止策で、国土交通省が1日に発表した防災・減災対策等強化事業推進費に、事業費1億6390万円が盛り込まれた。今年度中の実現を目指す。

   近く開発を始める新システムで、船舶の位置や動き、目的地などを発信する「船舶自動識別装置」(AIS)を活用する。過去3年分の全船舶のAISデータや大きさなどを基に、入港時の正常な航行ルートを設定し、逸脱した場合は音声で信号所の管制官に知らせる。AISを搭載したすべての船舶が監視の対象になる。

   同庁によると、同港区では現在、船舶が浅瀬などの障害物に乗り上げないように、AISを用いて監視するシステムはあるが、航路の逸脱までは確認できないという。同庁交通部企画課の担当者は「7月のフェリー事故では、原因はまだ分からないが明らかな航路の逸脱があった。(システムの詳細や導入の時期は)今後、開発する業者と話し合っていく」としている。

   7月2日未明に発生した事故では、八戸発苫小牧行きの川崎近海汽船「シルバーブリーズ」(8901トン)が、同港区で消波ブロックに乗り上げた。乗客乗員140人にけがはなかったが、同船は補修のため約1カ月間にわたって運休した。苫小牧海上保安署が業務上過失往来危険容疑の可能性も含めて捜査をしているほか、国の運輸安全員会も事故原因を調査している。