近代美術館 新築見送り 道議会予算委 知事公館含め建物改修

近代美術館 新築見送り 道議会予算委 知事公館含め建物改修
近代美術館再整備は「現在の建物を生かしながら取り組む」との姿勢を示した鈴木知事=2日午後、道議会庁舎第1委員会室

 道議会予算特別委員会(佐藤伸弥委員長)は2日、鈴木直道知事が出席して総括質疑を行った。最大会派の自民党・道民会議は植村真美氏が質問に立ち、道が再整備を検討している「近代美術館・知事公館エリア」(札幌市中央区北1西15~17)について「歴史的、環境的価値を十分に踏まえ、50年後、100年後の将来を見据えたものとすべきだ」と指摘し、「どのような点を重視して構想を取りまとめようとしているのか」とただした。

   鈴木知事は「本道の歴史・文化が育まれたエリアであり、後世に確実に引き継いでいくことが重要」と強調。エリアの活用に向けては、芸術や本道の歴史・文化を身近に体感できる▽緑豊かな自然環境が保たれる▽誰もが心地よく過ごすことができる交流と憩いの空間となる―を目指す姿として検討を進めていることを説明した。

   具体的には「現在の知事公館や近代美術館の建物を生かしながら取り組む」と述べ、新築を見送り、現在の建物を改修する考えを明らかにした。今後、道議会での議論、有識者の意見を踏まえ、「道民から親しまれ、誇りに感じていただける場所となるよう、エリアの一体的、具体的な活用を盛り込んだ構想を11月にも示す」と述べた。

   民主・道民連合の中川浩利氏は、今夏の米不足問題を取り上げ「あまり道庁に危機感が無いのではないか」と指摘。「今夏の反省も踏まえ道内の価格動向などをを検証、分析すべきだ。道として国の米政策にどう対応し、安定供給や水田農業の発展にどのように取り組むつもりか」と迫った。

   知事は「道は基盤整備、スマート農業、品種開発などに取り組み、主食用米をはじめ加工や米粉、輸出など多様なニーズに応えた米生産を推進している」と説明。こうした取り組みに加え、国における米の品薄状況に関する分析結果を踏まえた上で「その対応を検討する」と答弁した。国に対しては「集荷団体などが行う複数年契約に向けた取り組みの支援や生産力の向上に必要な予算の確保を求めるなど、北海道米の安定供給につなげる」と述べた。

   公明党の寺島信寿氏は、千歳市へのラピダス(東京)進出を起爆剤とした次世代半導体の複合拠点形成に言及。「国や経済界が引き続き支援を表明しているが、道として今後、拠点実現を目指し、どのような視点で、重点的な取り組みを展開するのか」とただした。

   知事は道が策定した「半導体・デジタル関連産業振興ビジョン」に基づき、「まずはラピダスのプロジェクト成功に向けて必要な支援に迅速に取り組み、半導体の複合拠点を実現する」と答弁した。国では骨太の方針に基づき、ラピダスの量産に向けた必要な法制上の措置について「関連法案を国会に提出し、成立させるべく検討を進めている」と説明。道として「国や千歳市との連携を一層強化し、インフラ整備や人材の育成・確保に取り組んでいく」と述べた。

   また、知事は8月の訪米でニューヨーク州側との覚書締結により構築した連携の枠組みを最大限活用することも強調。「国内外の半導体関連企業の誘致や研究拠点の誘致、教育機関と連携した人材育成など、複合拠点の実現に向けた取り組みを加速し、本道の経済活性化と持続的発展につなげる」との姿勢を示した。

   この他、新沼透氏(北海道結志会)、真下紀子氏(共産党)も総括質疑を行った。