札幌市立小学校に通っていた当時小学3年の男子児童が2021年、当時中学1年の男子生徒から性被害を受けたとして、市教委は8日、いじめ防止対策推進法上の「重大事態」に認定した第三者委員会の調査報告書を公表した。
報告書によると、男子生徒も同じ小学校の出身で、2人は同じスポーツ少年団に所属していた。生徒が中学に進学後の21年5月、男児は3回にわたって性的被害を受けた。それ以前にもこの生徒から帽子や手袋を取られるなどの被害に遭っていたという。男児の保護者が警察に相談したことで調査が始まり、生徒は家裁の少年審判に付された。
小学校と中学校は保護者からの連絡で事態を把握したが、2人が顔を合わせないよう通学路を変更するなどの対応をすぐに取らなかったという。男児は21年にストレス性障害と診断された。
報告書は小・中学校の対応について「不適切だった」、市教委についても「対応を任せるのではなく、中心となって事件に対応すべきだった」などと指摘。小・中学校とも組織が機能していなかったとして、「教育現場が法を守るつもりがあるのかと疑いたくなる思いを禁じ得ない」と厳しく批判した。