苫小牧市緑町で理容室「JENUSE(ジュネス)」を営む田中穣さん(43)は、13、14日にフランス・パリで開催される世界理容美容技術選手権大会に日本代表として初出場する。アジア圏の理容師が技術を競った4月の2024台湾カップ「スキンフェード部門」で優勝し、出場権をつかみ取った。道内からの世界大会出場は23年ぶりの快挙で、田中さんは地元の期待を背負い、表彰台を目指す。
世界大会は毎年開催され、今年はパリ五輪でも使われた展示場ポルト・ド・ヴェルサイユが会場。刈り上げの技術やデザイン性を競うスキンフェード部門は人気が高く、昨年は全部門で最多の49人が出場した。
田中さんは夏から大会へ向けた準備を開始。新たに髪形、染髪のデザインを考え、仕事の合間にカットの練習を重ねながら、世界大会経験者からのアドバイスも受けた。使い慣れたはさみとドライヤー、マネキンやスタンドなど道具一式をキャリーバッグに詰め込み、10日に現地入りする。
ホテルの部屋でぎりぎりまで練習できるように、ブルーシートも買いそろえた。「体調管理のため、食べ慣れたレトルト食品を持参する人もいると聞いた。競技中のコールも英語なので、できる限りの対策を講じたい」と意気込む。
9月下旬には、苫小牧市役所を表敬訪問し、岩倉博文市長から「よい報告を聞かせてもらえるよう期待している。頑張って」と激励を受けた。同席した北海道理容生活衛生同業組合苫小牧支部の阿部直和副支部長(54)も「次の世代のいい目標。本当に素晴らしい」と背中を押す。
田中さんは昨年9月の全国理容競技大会でも苫小牧勢初の優勝を果たし、今回の世界大会を「年齢的に最後の挑戦」と位置付ける。「いろんな方に応援してもらった。想像がつかない大会だが、自分の実力を出し切りたい」と力を込めた。