苫小牧署 新人2人は異色の経歴 木川田さん、鈴木さん

「フレッシュな気持ちを大切に仕事に臨みたい」と話す木川田巡査

 苫小牧署に、異色の経歴を持つ2人の警察官が配属された。元役者の木川田玲音さん(22)と、ウェブサイト制作など手掛けてきた元サラリーマンの鈴木祥平さん(28)。それぞれ7月下旬から地域課の巡査として、苫小牧市内の交番に勤務。2人は「これまでの経験を生かし、職務に励みたい」と意気込む。

   木川田さんは小樽市出身で高校2年の時、舞台やテレビで活躍する役者に憧れ、上京を決意。高校卒業後、東京都内の芸能事務所のスクールで殺陣や照明など裏方の仕事を1年間学び、役者人生を歩み始めた。

   舞台の時代劇で剣士役を演じたり、ミュージックビデオに出演したりし「自分じゃない誰かになり切ることで、その人の気持ちや魅力を感じられた」と振り返る。

   充実した日々を送る中、ふと中学生の頃、警察官になるのが夢だったことを思い出したという木川田さん。「人生に遅過ぎはない」と昨年、猛勉強の末、警察官採用試験に合格した。

   7月30日に双葉交番に配属後は、防犯などのため住民宅や事業所を訪問する「巡回連絡」や防犯パトロールに汗を流す。「市民から頼りにされ、責任感とやりがいを感じる。役者の経験を生かし、いつか詐欺防止や交通安全啓発の寸劇を披露したい」と語る。

       ◇

   鈴木さんは横浜市出身の元サラリーマン。2年前、子育てのため、妻の故郷である苫小牧市に移住した。

   子どもの頃は野球少年で、野球漬けの日々。高校卒業後は「もっと世界を知りたい」と語学の専門学校に進学し、英語を中心に勉強。タイに2年間語学留学し、現地の文化にも触れた。

   帰国してインターネット回線の営業マンとして2年間働き、子宝に恵まれると在宅でも勤務可能なウェブサイトの制作会社に転職。プログラミングを通じて企業のウェブサイトや公式ラインを手掛ける業務を担った。

   そんなある日、32歳まで警察官の試験を受けられることを知り、「これまで培った語学と営業スキル、体力を人のために生かせるのでは」と考えた。家族の後押しもあり、遅咲きの警察官を目指した。

   同署に配属後、7月末から美園交番に勤務。「外国人に対し英語で駐車違反の取り締まりをしたり、泥酔保護をしたり、これまでの経験が生かされている」と語る。今後は「パソコンのスキルを生かし、サイバーパトロールなどで表面化しにくい犯罪も阻止したい」と意欲を見せる。

   同署の大釜寛貴副署長は2人について、「社会人経験があるのは大きな強み。スキルを生かして犯罪抑止や啓発活動に貢献してもらえれば」と期待を寄せている。