厚真の農場で鳥インフル 道が防疫措置開始 1万9千羽殺処分 今季初確認

鶏舎に向かう道職員=17日午前10時20分ごろ、厚真町

 道は17日、厚真町の農場で飼育されている肉用鶏から致死率の高い高病原性鳥インフルエンザ(H5亜型)の感染が確認されたと発表した。同日午前、道庁で北海道高病原性鳥インフルエンザ対策本部会議を開き、防疫計画を策定。飼育する約1万9000羽を殺処分することを決め、同日午前から作業を開始した。感染が確認されたのは全国の農場では、今季初めて。

   道によるとこの農場から16日、「通常より死ぬ鶏(約120羽)が多い」と胆振家畜保健衛生所に連絡があり、簡易検査を行ったところA型インフルエンザ陽性を確認。その後、石狩家畜保健衛生所で確定検査(遺伝子検査)を実施し、17日午前8時半に陽性を確認した。国は同10時に高病原性鳥インフルエンザと判定した。

   道は農林水産省と協議し、この農場で飼育されている約1万9000羽を殺処分することを決め、17日午前中から作業を開始。午前9時30分ごろ、道職員ら約60人が厚真町スポーツセンターをバスで出発し、同10時ごろ現場の農場に到着した。上下白色の防護服を着込んだ職員らは農場敷地内に入り、殺処分に向けてポリタンクやビニール袋などを鶏舎に持ち込む光景が広がった。

   また、半径3キロ以内の周辺農場(2戸、約32万羽)を「移動制限区域」に、半径3~10キロ以内の農場(3戸、約39万羽)を「搬出制限区域」とし、監視を強化している。鳥インフルを受けた家畜の殺処分は、昨春に千歳市で飼育されていた採卵用の鶏を処分して以来。

   対策本部会議では、今後の防疫計画を策定。道職員は常時60人を動員。殺処分を行う3鶏舎のほか、10棟の空き鶏舎にも汚染物品があるため、計13鶏舎で清掃・消毒作業を行う。防疫措置期間は、殺処分作業が2日間、埋却作業が5日間、鶏舎施設の清掃・消毒作業は4日間を予定。制限区域を含めた防疫措置終了までは21日間を想定している。

   本部長を務める鈴木直道知事は「今後は厚真町をはじめ関係機関と密接に連携し、危機意識を共有して、発生農場を中心とした迅速な防疫措置に全力を挙げてほしい」と指示した。

   会議終了後、知事は、舞立昇治農林水産大臣政務官とウェブで会談。今後の防疫措置に万全を期すため、国に協力を要請した。