大人に代わって家族の世話や介護、家事などを担う18歳未満の子ども・ヤングケアラーの支援について考える苫小牧市主催のシンポジウムが20日、市民会館で開かれた。テレビ番組などでおなじみの菊地幸夫弁護士(67)が自身もヤングケアラーだった頃の経験を交えながら、「(自分は)周りの大人が距離を置いて見守ってくれたのが結果的に良かった。どう関わればいいか、ケースごとにしっかり分析してほしい」と呼び掛けた。
道との共催。4月に施行された市ヤングケアラー支援条例の周知を目的とした取り組みで、約160人が参加した。
菊地さんは高校1年の時に母親が亡くなり、仕事で不在がちな父に代わり幼い弟2人を世話していた頃のエピソードを紹介。部活動のバレーボールの練習を思うようにできない日々に、「なんで自分ばかり」と理不尽な思いでいっぱいだったと明かした。
そんな感情を発散させるため深夜に街を徘徊(はいかい)し、勉強にも身が入らず成績も下がったこともあったが「周りの人に言っても仕方がない、自分がやるしかないという気持ちだった」と語った。
一方、自分の様子に気付いていたであろう学校の先生や父親が何も言わず見守ってくれたことが結果として良い方向に進んだと回顧。自分がヤングケアラーだったことに気付いたのは3年ほど前といい、「本人は自分が支援される立場であることに気が付かない。周りの大人がしっかり情報を把握し、どう関わればいいかを考えてほしい」と述べた。
シンポジウムではこのほか、有識者らによるパネルディスカッションも行われた。