衆院選解説 揺らぐ政治への信頼に審判

衆院選解説 揺らぐ政治への信頼に審判

 衆院選が終わった。首相就任から解散・総選挙まで戦後最短の日程となり、野党は選挙区で候補の一本化もままならない中、ふたを開ければ与党の自民・公明両党が過半数割れ。自民党派閥の裏金事件を受け、政治への信頼が大きく揺らいだ中で、有権者が審判を下した結果だ。

   そんな衆院選でわれわれが暮らす道9区は、政治とカネの問題の象徴的かつ縮図ともいえる選挙区だった。同党比例代表道ブロック選出だった堀井学元衆院議員が辞職し、公選法違反罪などで略式起訴された。野党が批判するまでもなく、9区は裏金事件の舞台となった地域だ。

   4選を果たした立憲民主党の山岡達丸氏は、前回(2021年10月)は「野党共闘」の実現で初めて選挙区で勝利したが、今回は野党票が分散しながらの圧勝劇。これまでの活動や実績が評価されたのはもちろん、「敵失」で自民批判票も取り込んだ。

   堀井氏に裏切られた思いを強くする自民党の支持層からは「今回は投票をしない」「入れる人がいない」との声も聞こえてきた。同党新人の松下英樹氏は知名度不足に加え、非公認候補が代表を務める党支部に2000万円を支給した問題など、最後まで逆風にさらされた選挙戦だった。

   苫小牧市の投票率は49・48%で、有権者の過半数が投票を放棄した。改めて主権者としての自覚を促したいが、信頼を失った政治の責任は大きい。今後は政権の枠組みを巡る動きが出てくる中で、どう国民の信頼を取り戻していくのか、与野党問わず力を入れてほしい。

  (報道部長政治経済担当・金子勝俊)