道内衆院選得票分析 政治とカネに強い風 小選挙区・立憲9勝3敗 比例含め立憲12議席、自民6議席

選挙戦前半、大票田・札幌の大規模集会で演説した石破茂首相(自民党総裁)=18日、札幌市中央区

 27日投開票された第50回衆院選は、自民と公明の与党が公示前勢力(279議席)から大幅に減らし、過半数(233議席)を割り込む、歴史的大敗を喫した。自民党派閥の裏金事件を受けた政治とカネの問題に対して、強い逆風が吹き抜けた。20議席(小選挙区12議席、比例代表道ブロック8議席)の争奪戦となった道内では、立憲民主党が12議席、自民が6議席、公明と国民民主党が各1議席を獲得し、旧民主党政権が誕生した2009年以来、15年ぶりに与野党の勢力が逆転した。道内12小選挙区と比例代表道ブロックの得票状況を分析した。

   ■小選挙区

   道内では一部を除き、数多い小選挙区が激戦・接戦区となった。前回(2021年10月)は「自民6勝、立憲5勝、公明1勝」と与党が7勝5敗で勝ち越した。だが、今回は立憲が9勝し、3勝の自民を圧倒した。

   全国最多のマンモス選挙区で激戦区の道3区(札幌市豊平区、清田区、白石区の一部)は、立憲前職の荒井優氏(49)が自民前職の高木宏寿氏(64)を破り、再選。小選挙区で初めて議席を獲得した。得票率は荒井氏が41.73%で、高木氏(34.63%)に7.10ポイントの差をつけた。

   接戦区の道4区(札幌市手稲区、西区の一部、石狩市、後志管内)でも、立憲前職の大築紅葉氏(41)が自民道連会長で前職の中村裕之氏(63)=比例で復活=と繰り広げた激戦を制して再選、小選挙区で初勝利を収めた。中村氏の得票率は41.82%で、大築氏(45.11%)に3.29ポイント及ばなかった。

   裏金事件による「政治とカネ」の問題の道内での象徴区、道5区(札幌市厚別区、白石区の一部、石狩管内の一部)では、立憲元職の池田真紀氏(52)が小選挙区初勝利を果たし、3年ぶりに国政復帰する。裏金問題に関与した自民前職の和田義明氏(53)は、逆風を受けて初めて落選。池田氏の得票率は51.67%で、和田氏(41.56%)に10ポイント以上の大差をつけた。

   「自公連携の象徴区」の道10区(空知・留萌管内)でも、与党が苦戦。立憲前職の神谷裕氏(56)が、公明前職の稲津久氏(66)に競り勝ち、小選挙区で初めて勝利した。与野党一騎打ちの選挙区で、得票率は神谷氏が50.76%で、稲津氏(49.23%)は1.53ポイント及ばなかった。公明は道内小選挙区で守り続けた唯一の議席を失った。

   12小選挙区中、最も得票率が高かったのは道7区(釧路・根室管内)の鈴木貴子氏(38)=自民・前=で、58.44%だった。これに道9区(胆振・日高管内)の山岡達丸氏(45)=立憲・前=が56.12%で続いた。

   ■比例代表

   前回は「自民4議席、立憲3議席、公明1議席」と与党が勝ち越した比例道ブロック。今回は「立憲3議席、自民3議席、公明1議席、国民民主1議席」と与野党が互角の結果となった。

   立憲は69万4578票を獲得し、自民(64万1127票)を5万3000票余り上回った。比例名簿1位で優遇した小選挙区との重複の篠田奈保子氏(52)=道7区=のほか、西川将人氏(55)=道6区=、川原田英世氏(41)=道12区=の3新人が復活当選。これで12小選挙区に出馬した全員が当選を果たした。

   自民は、比例単独1位の前職の伊東良孝氏(75)のほか、惜敗率で道4区の前職の中村氏、道8区(渡島・桧山管内)の新人の向山淳氏(40)が復活当選した。

   公明は25万3344票を得票し、1議席を維持。前職の佐藤英道氏(64)が5選を果たした。

   国民民主は19万2303票を獲得し、定数8の8議席目を初めて勝ち取った。公示直前に候補を差し替え、22年の参院選道選挙区にも出馬している新人の臼木秀剛氏(43)が初当選した。

   れいわ新選組は17万7620票、小選挙区に9人を擁立した共産党は16万9799票、同じく小選挙区に3人を擁立した日本維新の会は9万6954票にとどまり、議席を獲得できなかった。