苫小牧市の岩倉博文市長(74)は28日、辞職届を藤田広美市議会議長に提出した。岩倉市長は辞職する理由について「自分の体がこれ以上良くなる見込みはない」と説明。今期限りの引退を示唆して臨んだ5期目、任期を約1年8カ月を残して退くことを決意した。岩倉市長は議会が同意する11月5日付で退職する予定で、後任を決める市長選は12月1日告示、同8日投開票で行われることが決まった。
29日午前に臨時記者会見を開き、岩倉市長は「任期満了まで市政のために尽くす思いだったが、2度の入院があったことで、市政のかじ取り役として肉体的な限界を実感し、これ以上皆さんにご心配とご迷惑をかけるわけにはいかないと、市長の職を辞することを決断した」と辞職する理由について説明した。
さらに「昨年11月に出張先の韓国で倒れてから、リハビリを継続し、筋力と体力の回復に努めながら、1年がたとうとしている」と思うように体調が回復しなかった経緯に触れ、「任期途中での辞職は断腸の思い」としつつも「これまで市政を支えてくださった皆さま、応援していただいた多くの皆さまに、心から感謝とお礼を申し上げる」と述べた。
岩倉市長は、衆院議員を経て、2006年の市長選で初当選し、現在5期目。この間の18年間余りについて「『ふるさと苫小牧』のために全身全霊で取り組んできた。財政の健全化や行政改革をはじめ、港とともに発展してきた本市の港湾機能のさらなる強化に努めてきた」と回顧。市長公約の大作戦シリーズ、市公式キャラクターとまチョップ誕生などを挙げて、「市民の皆さまと一緒にチャレンジしてきた」と振り返った。
自らの歩みを確かめるように、道内初の男女平等参画都市宣言やヤングケアラー支援条例の制定、苫小牧中央インターチェンジの実現などを列挙。ソフトバンク(東京)の大型データセンター進出、今年6月に不動産業大東開発(苫小牧市若草町)と合意したJR苫小牧駅前の旧商業施設「苫小牧駅前プラザエガオ」の解体や周辺再開発の方針に、「これから20年先を見据えた道筋を付けた」とも述べた。
岩倉市長は、28日に市役所で藤田議長に辞職届を提出し、29日に市議会臨時会の11月5日招集を告示した。市議会は市長の辞職に同意(議決)し、市長は同日をもって退職し、市は同6日から木村淳副市長を市長職務代理者とする予定だ。
また、藤田議長は28日、市長の辞職届提出を市選挙管理委員会に通知。市選管は29日に委員会を開き、市長選を12月1日告示、同8日投開票で行うことを決めた。12月開会予定の市議会定例会は前倒しする見通しで、今後調整して決める。
YouTube Video