学校給食作文コンクール(9) 「心から感謝を込めて」 苫小牧啓明中3年 近藤芦羽さん

学校給食作文コンクール(9)
「心から感謝を込めて」
苫小牧啓明中3年 近藤芦羽さん

 「はあ」僕は、大きなため息をついた。八月の給食献立表を見ると、たった四回しか給食を食べることができないことに気がついたからだ。僕は、小学校1年生から中学校3年生の現在まで一度も学校を欠席せず、遅刻や早退もしていない。それは、元気の源、給食の力が大きいからである。学校へ行く前に、必ず献立表を確認し、今日も一日頑張ろうと、自分を奮い立たせて登校し、給食配膳室からほのかに香るおいしそうなにおいをかげば、授業により集中して取り組める。僕にとって給食時間は、至福のひとときである。クラス全員で同じ物を楽しくお話ししながらおいしい給食を食べる時間、それも残り100回程度となってしまった。だから、一食一食を味わい、胸に刻みながら給食の味をかみしめ、堪能したいと思う。

   1学期が終わり、母は早速、頭をかかえていた。なぜなら、今年から夏休みが長くなり、僕の昼食作りの回数が増えるからだ。ここ数年、食品など値上げが止まらない。あらためて低価格でありながら栄養バランスを考え、おいしい給食を提供してくれる学校給食には感謝でしかない。なんて幸せなことなんだろう。母は、夏休みも給食があれば…とさえ、なげいている。給食は、母にとっても大変ありがたい存在なんだと悟った。そんな母に少しでも手助けになればと夏休み中、家庭科の教科書にある全52種類のレシピを給食の代わりに作ることに挑戦した。料理は、僕にとって、超がつくほど初心者だけど、手こずりながらも全制覇をした。今までは、出された母の手料理を何も考えずに食べていたが、作る側の苦労が初めて理解できた。たかが3人前を作るのでも大変だと感じたのに、大量の給食を毎日作っていることを考えると、今後、より給食を残さず大切に食べたいと思い、感謝の気持ちで胸がいっぱいになった。

   僕が給食センターの人々に直接感謝の気持ちを伝えられる機会は、この作文コンクールしかないと考え、小学校1年生から毎年書き続けています。中学3年生となり、これが最後の感謝を伝える場となりました。思い返せば、給食を楽しみに入学した小学校。低学年では、食べるのが遅く無我夢中でほおばり、中学年では、胆振東部地震で牛乳が欠品したり、コロナ禍で黙食になってしまったりした事がありましたが、現在どれも思い出となりました。

   高校生になったら、もう給食が食べられなくなると、さびしい気持ちでいっぱいです。9年間、栄養たっぷり、地産地消食材を使ったり、珍しい献立を考えてくださったり、子どもたちが喜びそうな給食を作っていただき、本当にありがとうございました。食材の生産者や配送してくださる方、調理してくれるセンターの方々、学校で給食の準備をしてくれる配膳員、その他、給食に携わる仕事をされている方に感謝して給食をおいしくいただきます。

  (終わり)