苫小牧市の防犯カメラ設置5カ年実施計画(第2期)は、今年度末で終了する。2020~24年度で市内の公園や公共施設などに15台の防犯カメラを増設する計画だったが、23年度末までに20台を設置済みで今年度も5~6台を新設予定。市有施設の防犯カメラは90台を超え、市民の間には「安全安全につながる」などと歓迎する声がある一方で、慎重な運用を求める意見も根強い。
市は15年度から19年度までの5カ年で、公共施設を中心に計66台の防犯カメラを設置。続く20年度からの現行計画では、苫小牧署による犯罪の認知件数も考慮し、公園や通学路といった屋外への配置を強化してきた。
▽川沿公園(川沿町)▽すこやか公園(ときわ町)▽豊陵公園(柏木町)▽JR錦岡駅公衆トイレ(宮前町)など9カ所に計13台を設置後、当初計画になかった拓進、拓勇、澄川、美園の4小学校区の通学路に計7台を設けた。
北星公園(錦西町)では、公衆トイレの前やあずまや付近に支柱を立てて「防犯カメラ作動中」と記したステッカーを貼り、計2台を稼働させている。
同公園に3歳と生後6カ月の息子2人と遊びに来ていた拓勇東町の主婦(30)は「何が起きるか分からない世の中だけに、市民の安心安全につながるカメラはあった方がよい」と歓迎する。
市民生活課によると、市の管理施設を含めた市内全体のカメラ数は23年度末で509台を数える。設置目的は防犯だが市民のプライバシーを記録する側面もあり、「映像の不適切利用が心配」「監視社会を招く」といった懸念も根強い。
今年度内に新設される予定の▽日吉4丁目公園▽あかつき公園▽日吉運動公園を抱える日吉町町内会の板野勝会長(82)は「個人的に防犯カメラ設置には賛成だが、慎重な対応を求める人もいる」と指摘。「市は住民に対し必要性を丁寧に説明し、地域に安心感を与える運用を心掛けてほしい」と要望する。
市は設置場所の選定を原則として住民らの理解を得ながら進め、映像の閲覧については管理部署の所属長や担当者に限定。閲覧記録簿の作成と運用状況の報告を義務付けている。
ただ、警察から刑事訴訟法に基づく捜査関係事項照会書が提出された場合、令状がなくても映像資料の提供に応じるケースがあり23年度の映像提供件数は、前年度比6件増の30件に上った。畑島寿市民生活課長は「市民のプライバシー保護には十分配慮し、対応している」と理解を求める。
現行計画最終年度の24年度は、日吉町内の公園3カ所への設置が決まっているほか、通学路に3台ほど新設することを検討中。来年度以降も「更新と新設のバランスを考慮しながら整備に当たる」(畑島課長)としている。