胆振総合振興局がまとめた2023年度の管内観光入り込み客数は1641万8100人で、前年度比15・8%(224万2500人)増となった。新型コロナウイルス禍前の19年度と比べて1・5%(23万8400人)増で、コロナ前の水準に回復した。23年5月にコロナ感染症が5類に移行したことに加え、各地のイベントが通常開催に戻り、全国旅行支援も継続されたことで増加したとみられる。
管内観光客の内訳は、道外客が前年度比49・9%(181万2600人)増の544万5000人、道内客が4・1%(42万9900人)増の1097万3100人。道内客が7割弱を占める。コロナ前の19年度と比べると、道外客は3・2%(18万1900人)減、道内客は4・0%(42万300人)増だった。
自治体別の内訳では、登別市が最多の326万8100人で前年度比39・8%増。2位は苫小牧市で23・7%増の263万5800人、3位は洞爺湖町で20・2%増の234万5800人。この他、東胆振では、厚真、むかわ両町は前年度実績を上回ったが、白老、安平両町はマイナスだった。
胆振総合振興局は「徐々に人の移動が正常化する中で、道民が道内の温泉に出掛けるなど、近場から行動範囲を広げていく傾向が強い」と分析する。管内の日帰り・宿泊別の内訳は、日帰り客が15・1%増の1370万7000人、宿泊客が19・5%増の271万人。日帰りが8割強に達した。
インバウンド(訪日客)の宿泊者数は延べ78万772人泊で、約4・1倍(59万870人泊増)。23年5月のコロナ5類移行で水際対策が終了し、円安傾向が継続したことで増えたと考えられる。ただ、コロナ前の19年度と比べると、4・8%(3万9285人泊)の減少。16~18年度は年間100万人泊を超えており、インバウンドに関してはコロナ前の状況には完全に戻っていないようだ。
また、宿泊者数の国・地域別の内訳は、台湾が24万8504人泊と最多で、全体の31・8%を占めている。この他、多い順に韓国が20万9820人泊、中国7万6038人泊、香港6万1088人泊、シンガポール3万4834人泊など。22年以降は新千歳空港国際線の定期便再開により増加傾向で、19年度実績をも上回った。
ただ、中国は前年度比約14倍だが、19年度比は68・2%減。新千歳と中国本土を結ぶ直行便は23年7月に再開したばかりに加え、同8月9日まで日本行き団体旅行・パッケージツアー商品の販売禁止措置が継続されたことなどが影響した。同振興局は「これから一層移動が日常化する中で、海外からの旅行客が増加する」と期待している。