苫小牧市環境審議会(八田茂実会長)は12日、「市自然環境等と再生可能エネルギー発電事業の調和に関する条例」(仮称・再エネ条例)の策定を「妥当」とする答申書を市に提出した。脱炭素社会の実現に向け再エネ発電事業を推進する一方、開発行為で自然環境や景観に深刻な影響を与えないようにするのが目的で、市は年度内の条例制定を目指す。策定に当たっては「実効性ある制度設計とすること」との意見も付けた。
今年5月に市長から諮問を受け、検討を重ねてきた。八田会長らが同日、市役所を訪れ、山本俊介副市長に答申書を手渡した。八田会長は自然・生活環境の保全と再エネ事業推進の調和を図る市の責務を明確にするよう求め、「事業者の努力目標にとどめないように」と注文を付けた。
市環境衛生部によると、検討中の条例素案は、太陽光発電施設と風力発電施設の発電出力10キロワット以上が対象。事業者に対し▽施設設置前の市との事前協議▽周辺住民への説明会開催(理解を得られるよう努めなければならない)▽事業計画、工事完了届、事業継承、廃止届の提出―などを義務付ける。国有地または公有地について、環境保全や防災の観点から設置禁止区域を設けることも視野に入れている。
さらに市長の権限を強化し、立ち入り調査に加え、指導または助言、それに応じない場合の中止命令や事業者名の公表も盛り込む予定だ。
審議会では違反に対する実効性が議論となり、市は事前協議の義務化や、指導に従わなかった場合に設備除去、原状回復命令も可能になることを挙げ、「一定程度の抑止力がある」との見解を示した。
市は12月から、条例素案に対するパブリックコメント(意見公募)を行った上で、来年2月の定例市議会に条例案を提出する予定。