「もう一匹」望み乗せ ひと振り 錦多峰川など河口規制明けのサケ釣り

シーズンを締めくくる1匹を期待してさおを振る=錦多峰川河口

 胆振太平洋沿岸河川のサケマス採捕禁止区域の河口規制が解除された11日、苫小牧や近郊の河口周辺は熱心にさおを振る釣り人らの姿が見られた。サケ回帰の盛期は過ぎたものの、沖の定置網の漁期も終えたことから、シーズン最後のチャンスを見込む。熱い思いをラインに乗せ、厳寒の空気を切り裂くようにキャストを繰り返していた。

   河口規制は、ふ化事業に必要な親魚を確保するために設定されている。胆振では苫小牧市の錦多峰川、安平川、むかわ町の鵡川、白老町の白老川、敷生川、アヨロ川、登別市の登別川、伊達市の長流川、豊浦町の貫気別川が対象。安平川(5月1日~9月30日)を除く8河川が12月10日で解除された。

   このうち錦多峰川河口では、早朝から10人前後の釣り人が河口に陣取るように波打ち際に立ち込み、浮きルアーでサケを狙った。潮回りは午前6時すぎに満潮を迎えるまずまずのタイミング。気温こそ氷点下と厳しいものの、北寄りの弱い出し風はルアーを飛ばすのに好条件。投げてはスロースピードで回収する動作を何度も繰り返していた。

   一方、河口の左右両岸は投げざおを使うぶっ込みの釣り人が数組、釣座を構えた。同じ餌、同じ仕掛けに大型マツカワが掛かることもあるため、ぶっ込みでは両方を狙う人も。11月まで居座ったフグの餌取りも落ち着き、たき火で暖を取りながらのんびりとさお先を眺める姿も見られた。

   規制解除のタイミングを見計らってのサケ釣りはこの日、白老川、敷生川などでも繰り広げられた。釣果はどこも厳しく、早朝から2時間ほど錦多峰川河口でさおを振った40代の男性は「魚信は皆無。けさは魚がいないよう」との印象。白老川河口の釣り人も「一瞬、魚信らしきものはあったがそれっきり」と話した。

   とはいえ厳しい釣りになるのは皆、織り込み済み。錦多峰川河口の釣り人は「今季最後のサケ釣り。あわよくばの気持ちでいるので、穏やかな天気の日曜に釣りができるだけで楽しい」と笑顔を返してくれた。

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