苫小牧市は17日、市役所で市民向けの防災講座を開いた。防災の専門家や震災の語り部、気象台の予報管理官が火山、地震、気象災害などをテーマに講演。延べ70人が来場し、自然災害への心構えや備えについて理解を深めた。
環境防災総合政策研究機構理事の宇井忠英北大名誉教授は、中規模程度の火山噴火であれば「噴石や火山灰が命に関わることはないが、目や肺を痛めることがある」とし、ゴーグルやマスクの重要性を説いた。
樽前山は「噴火の間隔に規則性がなく、予知情報が適切なタイミングで出る保証はない」と指摘。行政、地域住民、科学者といった立場の違う人たちの連携、情報共有が「災害軽減のカギになる」と述べた。
東日本大震災当時、津波で被災した宮城県山元町の小学校で校長だった井上剛さんは語り部として「いつ、どこで、どのように災害に遭遇するか分からない」と強調。室蘭地方気象台の大作千加男観測予報管理官は、気象警報の利活用について講話した。
市内見山町の山岡純代さん(52)は「中規模以下の噴火が発生した場合の対応について、聞くことができた。今自分にできるのは(学んだことを周囲に)伝えること」と防災意識を新たにしていた。