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11年ぶりホッキ貝の稚貝大量発生 苫小牧沖、資源継承に期待感

2016/6/10配信

 道の胆振地区水産技術普及指導所が2015年度に苫小牧沖で実施したホッキ貝の資源量調査の結果、11年ぶりに稚貝の大量発生が確認されたことが分かった。大量発生の理由は判明していないが、ホッキ貝の資源減少を心配していた漁業者らは「苫小牧の漁業にとって、何より明るい話題だ」と喜んでいる。

 15年連続で水揚げ量日本一を誇る苫小牧のホッキ貝。その一方、後続資源となる稚貝の減少が問題になっていた。ホッキ貝は本来、3~4年に一度の割合で稚貝が大量発生するとされているが、苫小牧沖では2004年を最後に起きていない。

 ところが、同指導所が昨年10月と今年3月に行った資源量調査で、稚貝の大量発生を確認。夏漁と冬漁で異なる苫小牧沖の漁場でそれぞれ1日ずつ、試験的に貝を採取したところ、漁獲対象とならない稚貝(直径9センチ未満)の数が14年度調査比で2・5倍の4200万1000個に上った。一方、漁獲対象の貝(同9センチ以上)は年々減っており、15年度調査では5371万4000個と5・2%減となった。

 稚貝の大きさは5センチ前後が多く、同指導所は「13年の産卵で発生した」と推測。「今後、生息環境に急激な変化がなければ、あと7年ほどで漁獲対象の貝になる可能性が高い」と言う。

 苫小牧のホッキ漁に関しては、過去の乱獲で資源が枯渇した歴史がある。このため、苫小牧漁業協同組合は毎年の資源量調査の結果を参考に、「全体資源の約5%」を漁獲枠とする管理型漁業を長く続け、1985年から漁獲対象を9センチ以上に規制している。

 しかし、稚貝の大量発生が長く見られず、資源量減少を心配していた中で、苫小牧漁協は近年、発生を促す活動も手探りで展開。ホッキ貝の外敵となるヒトデの駆除や、生息域が競合する棘皮(きょくひ)動物カシパンの試験駆除の他、ホッキ貝の密集場所から貝を分散させたり、貝の定着率を上げるため海底の土を耕したりと、生息環境の改善に取り組んできた。

 稚貝大量発生のメカニズムは分かっていない部分が多く、同漁協の取り組みとの関係も今のところ判明していない。だが、苫小牧漁協の磯﨑好一組合長は「取りあえず、次の世代へホッキ資源がつながる光が見えた」と安堵(あんど)する。

 同漁協では今後も稚貝発生を誘発する活動を継続する考えで、「次の世代にも漁獲量日本一を引き継いでいきたい」としている。
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