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苫小牧CCS実証試験センター竣工式 二酸化炭素の封じ込め4月開始

2016/3/18配信

 日本CCS調査(東京、石井正一社長)は17日、4月から予定するCCS(二酸化炭素の回収・地下貯留技術)実証試験のスタートを前に、苫小牧市真砂町に完成した実証試験プラントを報道関係者に公開した。18日には、現地で施設を管理する苫小牧CCS実証試験センターの竣工(しゅんこう)式が行われた。

 CCSは、製油所や発電所などから出る温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)を大気に放出する前に回収し、地中深くに封じ込める技術。

 隙間が多く、浸透しやすい性質の貯留層にCO2を送り込み、その上部にある隙間が少なく浸透しにくい性質の遮蔽(しゃへい)層をふたに封じ込めるイメージだ。すでにアメリカやカナダ、ノルウェーなど世界15カ所で、枯渇した油田やガス田などを使って実用化されている。

 日本は、2030年度までに13年度比でマイナス26%の温室効果ガス削減目標を掲げており、目標達成のための有効な対策の一つとしてCCSの20年頃の国内初の実用化を目指している。

 12年2月、苫小牧沖で国内初の実証試験が決定。今年度まで、油ガス開発や石油元売り、電力会社など35社でつくる日本CCS調査が経済産業省から委託を受け、総事業費340億円を投じてCO2を分離・回収する地上設備の建設やCO2を海底下に圧入する井戸の掘削、実証運転の準備を進めてきた。

 施設は昨年11月に完成。隣接する出光興産北海道製油所からパイプラインで供給される排ガスを使った試験運転を終え、現在は4月の実証試験開始に向けた暖気運転中だ。実証試験では、18年度までの3年間で30万トン以上のCO2を封じ込め、その後、2年間は地層のモニタリング(監視)をする。

 地上プラントは、特殊な薬品を使って排ガスからCO2を分離するが、減圧によりCO2を分離する「低圧フラッシュ塔」も備えたことで、分離・回収に必要なエネルギーを従来設備の2分の1~3分の1に抑えた。CO2回収後の排ガス(主に水素)は、地上施設中央に設けた蒸気タービン発電機の燃料に活用。出力は最大1万2400キロワットで、地上施設の電力の約6割を賄うことができる。

 18日午前、現地で実証試験センターの竣工式が行われ、石井社長は「無事故・無災害での施設完成をうれしく思う。(CCS)が世界が注目する温暖化対策の切り札になることを期待している」と語った。

 実証試験の事業者は現時点で決まっていないが苫小牧民報社の取材に対し、経産省は「実証試験の準備に携わってきた経験や専門性を考慮し、日本CCS調査へ委託する方向で検討している」とした。
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