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ALSに理解を ピアノ調律師の杉浦忍さんがコンサート

2015/5/22配信

 苫小牧市で育ち、昨年ALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断された札幌市在住のピアノ調律師、杉浦忍さん(56)が28日、苫小牧市内で「ぎすはーコンサート」を開く。音楽仲間で、札幌を拠点に活動するピアニストやクラリネット奏者が演奏を披露する他、杉浦さんが自らの病気に関して語る予定で、「ALS、難病について多くの人に関心を持ってほしい」としている。

 コンサートは28日午後6時から、苫小牧信用金庫2階市民サロンで開催。当日は、ユーチューブなどで活動しているピアニストで、自身の作品がテレビゲーム「太鼓の達人」に採用された「よみぃP」さんをはじめ、クラリネット奏者の吉田聖子さん、ピアニストの横山理子さん=いずれも札幌市在住=が出演し、ショパンやグノーの曲を演奏する。コンサートで使うピアノの調律は杉浦さんが担当する他、ALSなどについて話す。

 ALSは、手や足など体を動かす時に必要な筋肉(随意筋)を支配する神経「運動ニューロン」が侵される進行性の病気。人によって症状はさまざまだが、運動障害をはじめ、会話ができなくなったり、進行すると呼吸困難に陥ってしまうこともある。治療法が確立されておらず、難病に指定され、日本ALS協会が患者らを支援している。

 杉浦さんは静内町(現新ひだか町)生まれ。幼稚園から高校時代は苫小牧市で暮らした。高校卒業後、札幌のヤマハ札幌店の委任契約技術者となり、調律師として35年間活動してきた。最初に体の不調を感じたのは53歳の時だった。特段気にせずにいたが、寝ている際に手が動かなくなったのを機に昨年5月に医療機関を受診。複数の検査を経てALSと診断された。この間、腕が上がりにくくなるなど症状は進行した。

 「動けなくなる前にしたいことは」と家族に問われ、杉浦さんは調律師を続けることを願った。さらに、音楽を通してALSについて多くの人に知ってもらいたいと、ピアニストなど音楽仲間に呼び掛けてコンサートを企画。今年1月から始め、札幌市内の「ユニバーサルカフェ minnna(ミンナ)」を中心に毎月1回のペースで開いてきた。子供時代を過ごした苫小牧でのコンサートは、友人とのつながりで開催が決まった。

 コンサート名の「ぎすはー」は、杉浦さんの名字と名前にちなんで付けた。「ぎす」は、名字の杉浦の杉(すぎ)を逆にしたもの。また、「はー」は、名前の忍の「し」をドレミファソラシドの音階「シ」とし、それをドイツ語発音(ハー)で表現したものという。

 杉浦さんは「周囲の支えがなければ、こうした取り組みはできない。同じ会場で一緒に音楽を囲むことができる幸せを感じており、支えていただいている多くの方に感謝しています」と言い、「コンサートがALSのことを知り、難病に目を向けてもらうきっかけになれば。日常生活で身近な所に『自分にもできることがある』と感じてもらえたならうれしい」と話す。

 コンサートは入場無料で、事前の予約が必要。予約はとましんパートナーズ 電話0144(56)5026。
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