詩人、童話作家の宮沢賢治が苫小牧を訪れてから９０年。この節目の年を機に苫小牧市の観光・経済界や文化団体などでつくる宮沢賢治ワールドｉｎ苫小牧２０１４実行委員会が、５月を中心に市内で記念イベントを繰り広げる。スタジオジブリ映画監督の高畑勲さんが講師を務める宮沢賢治学会イーハトーブセンター・全国セミナーなどを計画。「賢治ゆかりの地・苫小牧」を道内外にアピールする。

　「銀河鉄道の夜」などの作品で知られる宮沢賢治は１９２４年５月２１日、花巻農学校（岩手県）の修学旅行引率教師として苫小牧を訪れた。この時に見た風景に触発され、「牛」と「海鳴り」という詩を残している。

　記念イベントを推進する実行委は１９日に発足。実行委員長は福原次郎苫小牧観光協会長、副実行委員長は森山弘毅苫小牧文化団体協議会長と志賀勉苫小牧商工会議所専務理事が就任した。「宮沢賢治ワールドｉｎ苫小牧２０１４―牛があそんでゐる。Ｍｏｏｏｏｏ！」をタイトルに各種行事を展開し、賢治と苫小牧の縁を観光振興や地域文化向上、中心市街地の活性化につなげる。

　皮切りは市美術博物館で５月３日～６月２９日に開く「宮沢賢治の世界をアートする２０１４―佐藤国男の版画を中心に」。賢治の文学作品をテーマに版画や絵本を手掛ける佐藤国男さん（函館市）の作品と、賢治ゆかりの資料を展示する。

　関連事業として、市内外の作家が賢治をテーマに制作した絵画などの作品を５月２４～３１日、苫小牧信用金庫本店市民サロンで紹介。また、金崎秀利スケッチ画＆佐藤国男版画展を２３～３１日、ファッションメールプラザギャラリーで開く。

　宮沢賢治学会イーハトーブセンターとの共催で５月２４、２５日、苫小牧市民会館などを会場に苫小牧セミナーと交流会を開催する。高畑監督を講師に招く予定の他、賢治研究者の中地文宮城教育大学教授と天文研究家の加倉井厚夫さんが研究発表する。一般市民にも参加を呼び掛ける。

　さらに５月２５日に「賢治ウオーク」を催し、９０年前の苫小牧で賢治が歩いた道をたどりながら開催中の関連行事を巡る。

　この他、賢治ゆかりの地をアピールし、観光などに役立てるリーフレットの作成、市立中央図書館での読み聞かせや朗読会も実施する。

　問い合わせは事務局代表の大石和美さん　携帯電話０９０（５９８５）１１２７。