白老漁港でイトウ釣る 「分布考えても珍しい」-千歳水族館
2019/6/18配信
苫小牧市の太公望が17日、サクラマス釣りに出掛けた白老漁港で種類を判別できない魚を釣り上げた。サケのふるさと千歳水族館=千歳市花園=に持ち込んだところ、菊池基弘館長の鑑定で、イトウと判明。環境省が絶滅危惧種に指定する国内最大の「幻の魚」で、驚きが広がった。
苫小牧市澄川町の看護師佐々木喬さん(32)のさおにかかった。同日午前3時から、友人で釣りの師匠という同市ときわ町の理容師大場恭輔さん(32)と白老漁港でサクラマスを狙った際のことだった。
糸を垂らして30分ほどで当たりを感じ、重みを受け止めながら引き揚げた。周囲はまだ暗く、佐々木さんは「サクラマスだと思って、すぐに血抜きをした」と振り返る。大場さんは「(降海型ニジマスの)スチールヘッドだと思った」。周囲の釣り人から「イトウでは」と指摘されても佐々木さんは半信半疑。釣り仲間の間でも意見が分かれ、持ち込んで見せた釣具店の店長に千歳水族館での鑑定を勧められた。
2歳の娘と、何度も見学で訪れてきた水族館に佐々木さんは今回、釣果を持ち込んだ。菊池館長がイトウと同定。水族館の測定では体長59センチ、魚体2・75キロ。うろこから5~6年魚とみられるという。雌雄は不明。
イトウは北海道と樺太や千島列島の一部に生息するサケ目サケ科の淡水魚。まれに降海した個体がサケ漁などで混獲される事例もあるが、菊池館長は「近隣河川から降海したかもしれない。イトウが海で、しかも白老で釣り上げられるのは、極めて珍しい」と語る。
希少種のため水族館は来歴調査や解剖、記録が必要と判断。イトウを冷凍保存して道内の研究機関に委ね、開腹後に雌雄を判定させるという。
佐々木さんは「イトウは釣り人なら生涯に一度は釣りたい幻の魚。釣り歴6年の自分が釣り上げ、今も興奮している」と喜ぶ。先を越された大場さんも「悔しいけど次は自分が」と笑顔だった。