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樽前山など上空から観測 道内3活火山活動を記録-海保と気象台が合同訓練

2019/2/13配信

 第1管区海上保安本部(小樽市)と札幌管区気象台は12日、気象庁の常時観測火山に位置付けられている樽前山(1041メートル)など道内3活火山の活動を上空から観測する合同訓練を行った。観測で使用した海保の航空機に同乗し、訓練や火山の様子を見た。
(八重樫智)

 対象3火山は樽前山のほか、雌阿寒岳(1499メートル)=釧路市、十勝管内足寄町=、アトサヌプリ(512メートル)=釧路管内弟子屈町=。同日午前10時すぎ、双発のプロペラ機「おおわし1号」(千歳航空基地所属)に海保と同気象台、道の職員ら15人が乗り込み、大きな重低音を響かせながら離陸した。

 千歳基地を飛び立った航空機は10分もたたずに、支笏湖南側に位置する樽前山の上空へ接近。1909(明治42)年の噴火で形成された溶岩ドームも雪に覆われ、山頂に白銀の世界が広がっていた。

 気象台職員らは早速、観測訓練を始め、機体後部の窓から動画と写真で撮影。左旋回で山を2周しながら、噴煙の高さ、溶岩ドーム周辺の雪解けの有無など、山の様子に異常がないかどうか目を凝らし、詳細に記録し続けた。その後、航空機は苫小牧市上空の高度約3000メートルまで上昇し、道東の雌阿寒岳を目指した。

 同11時ごろ、雌阿寒岳上空に到着。雄大な自然の冬景色に目を奪われた。雌阿寒岳は昨年11月、火山性地震が多発し、ごく小規模な水蒸気噴火が起こる可能性が生じたため、気象庁が噴火警戒レベルを1(活火山であることに留意)から2(火口周辺規制)へ引き上げた。地元自治体は注意喚起などの対応に追われたものの、その1カ月後に噴火警戒レベルは再び1に戻り、今は落ち着いている。

 職員らは、噴煙を上げるポンマチネシリ火口などを観測。噴気は100メートル以下とみられ、火口周辺部の雪解けもなく、山の活動は低調に推移していることが分かった。

 引き続き、アトサヌプリ(512メートル)へ向かって観測した後、知床半島沿いに飛行。半島の東側にある国後島を機体から眺めることができた。知床半島を低空で飛行し、オホーツク海一面に広がる流氷を確認。紺碧(こんぺき)の水面を海氷がびっしりと覆う光景に圧倒された。

 観測訓練を終えた後、千歳航空基地へ帰着。同気象台の道端秀和技術専門官は「地熱域の広がりなどは見られなかったので、3火山とも特段の異変はなかった」と総括した。結果は、同気象台が毎月発表する火山活動解説資料に活用する。

 両機関は2005年、火山に異常現象が認められた場合に連携して観測する体制を構築した。毎年1回、運用の仕方や連携強化を目的に訓練をしている。第1管区海上保安本部環境防災課の仲野拓実課長は「噴火など災害対応に向けた連携強化だけでなく、内陸部での航空機運用の実力向上につながるので今後も継続したい」と話している。

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