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TPP衆院通過 農業者から困惑の声

2016/11/11配信

 環太平洋連携協定(TPP)の承認案と関連法案が10日、衆院本会議で可決され、参院に送付された。政府・与党は今国会承認を目指しているが、東胆振の農業者の間でも影響を不安視する声が広がる。一方、TPP離脱を主張する米共和党ドナルド・トランプ氏が米大統領選で勝利し、ここに来て発効の見通しが立たない情勢に。政治に翻弄(ほんろう)され、困惑する農業者もいる。

 TPPは、アジア太平洋地域の貿易自由化や投資、知的財産などのルールを定めた経済連携協定。日本や米国、オーストラリアなど12カ国が2月に署名し、現在、各国で発効に向けた手続きが行われており、日本では4日に衆院特別委、10日に衆院本会議で可決された。

 今国会で承認される見通しとなったことに、東胆振の農業関係者らも農業への打撃を強く心配する。とまこまい広域農協(本所厚真町)の秋永徹組合長は「JAグループとして丁寧な議論を求めてきたが、議論は不十分。TPPは農業分野以外に多くの人の生活に影響する」と憤る。昨年のTPP大筋合意の内容通りに農作物の関税が引き下げられた場合、「コメ、麦、野菜、豚、牛と東胆振農業への影響は大きい」と危機感を抱く。

 苫小牧市美沢で乳牛約120頭を飼育する谷口隆昌さん(55)も同じ気持ちだ。「乳牛の雄や、搾乳できなくなった雌は肉用牛として出荷するが、輸入肉と競合する。TPPが発効すると対等な競争にならない」とし、「政府は農業を成長産業にしたいだろうが、大規模化して生き残れる農家はわずか」と顔を曇らせる。市内の肉牛生産者(53)も「コストは下げられず、どうなってしまうのか」と厳しい表情で話した。

 内閣官房の昨年12月にまとめによれば、TPP協定で貿易や投資を拡大し、日本のGDP(国内総生産)を14兆円押し上げる効果が出ると試算。だが、農林水産分野は関税削減などの影響で、生産額が最大2100億円減少が生じるとしている。市内樽前で約1万8000頭の豚を飼育するビィクトリーポークの中岡亮太企画管理室長(37)は「TPPは基本的に反対だが、生産者が減少する中、どう生き残るか考えないといけない時代になった」と語る。

 一方、米大統領選でTPP離脱を訴えてきたトランプ氏が勝利し、発効の行方がにわかに不透明になった情勢を受け、新たな不安を抱く声も。苫小牧の酪農家は「TPPが発効できなくなっても、次にどうなるか、先が読めない」と困惑する。とまこまい広域農協の秋永組合長は「FTA(自由貿易協定)の動きが強まり、より厳しい条件を突き付けられるようになるかもしれない」と懸念し、「地域の農作物が消費者に選ばれるため、良い物を生産し続けるしかない」と力を込めた。

 TPPの行方は、消費者にとっても大きな関心事。苫小牧消費者協会の橋本智子会長はTPPをめぐる国会議論は不十分だとし、「今後の動向を注意深く見ていかなければならない」と話した。

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