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市民らの証言や保全の思い一冊に 書籍「ハスカップとわたし」発行-苫東環境コモンズ

2019/6/11配信

 苫小牧市のNPO法人苫東環境コモンズ(瀧澤紫織代表理事)は、勇払原野に自生し、地域の風土、食文化を特徴づける果実となっているハスカップに関する市民らの証言や保全に対する考え方などをまとめた書籍「ハスカップとわたし」を中西出版(札幌市)から発行した。取材、編集を担当した事務局長の草苅健さん(67)は「ハスカップに関わってきたさまざまな人たちの声を6年間かけてまとめた。市民が縦横につながり保全、活用を担っていく意識を共有するきっかけになれば」と話す。

 同NPOは2010年1月、勇払原野の豊かな自然を守りながら、果実や木材などの民間活用を促す組織として発足。ハスカップの自生地などを「コモンズ」(共有資源)と位置付け、土地所有者らの理解を得ながら雑木林やフットパス(自然遊歩道)などの管理、利活用に取り組んでいる。

 書籍は5章立てで、苫小牧東部工業地域(苫東)開発前から地域に暮らす70~80代のハスカップ農家や加工業者、商業者ら10人へのインタビューをはじめ、同NPOの講演録も収録。国内最大のハスカップ群生地とされる勇払原野と環境保全、ジャム、ワイン、菓子などの生産者との関係、立地企業との関わりなど幅広い視点から整理している。

 1950~60年代のハスカップにまつわる思い出や、70年代ごろの関連イベントについての証言などは興味深い。

 地域の風土を象徴するハスカップを中心に据えることで、対立構図で捉えられがちだった開発と自然保護の融和を模索。産業、自然を共に誇れる地域運営を目指す新たな枠組みとして「ハスカップ・イニシアチブ」を提唱する。

 「一人一人がハスカップの恵みをどのように共有し、守っていくかを考えなければ。さまざまな立場で関わる人すべてが、ハスカップの後見人」と説く。

 勇払原野やハスカップについて開拓時代から知る世代が高齢化していく中、「歴史の散逸に危機感を持っていた」と草苅さん。市美術博物館や郷土文化研究会の協力も得ながら6年かけて地域住民や学識経験者らへの取材、執筆、編集を進めてきた。

 全国の自然科学系の学者らに約300冊を献本したという草苅さんは「社会科学系の話題が主だが、『ポストブルーベリー』と呼ばれるハスカップの栄養価など食材の可能性についての新たな研究のきっかけになれば」と期待する。

 A5判、269ページで、価格は1600円(税別)。道内の主要書店で取り扱っている。

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