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北海道胆振東部地震

縄文遺跡に地滑り痕跡 胆振東部地震と同様の斜面崩壊-厚真町幌内

2018/10/31配信

 厚真町幌内地区で町教育委員会が2002年から進めた縄文遺跡の発掘調査の現場で、3000~4000年前に起きた山林斜面崩壊の地滑り痕跡が見つかったことが分かった。当時調査に当たった研究者によると、地質の内容分析や、年代が石狩低地東縁断層帯主部・馬追断層の活動期と重なっていることから「地滑り原因は地震の可能性が大きい」と判断したという。厚真町や周辺地域では胆振東部地震による大規模な土砂災害に見舞われたが、地震が斜面崩壊を引き起こした今回と同様のメカニズムで大昔にも地滑りが発生した可能性を示唆した。

 厚幌1遺跡は、同町幌内地区に流れる厚真川上流の左岸に位置する。厚幌ダム建設関連工事に伴う埋蔵文化財調査で町教委が02年に行った発掘作業で、約4000年前の縄文時代後期を主体とした遺跡の現場で延長40メートル、幅35メートル、高さ2メートルの隆起地形の土地を発見。当初は縄文人の手による盛り土と想定したが、土器や石器が出土しなかったため、自然の堆積物の可能性が浮上。このため、町教委が道立地質研究所に依頼し、専門の研究者が地質を調べた。

 研究者が詳しく調査したところ、9000年前の樽前山噴火による軽石や岩片、腐植土も入った火山灰層の土壌が、背後の山林の斜面崩壊で大量に流れ込んだ痕跡と分かったという。年代は3000~4000年前。空知管内から安平町付近に延びる石狩低地東縁断層帯主部(長さ約66キロ)の南端付近にあり、同断層帯主部を構成する馬追断層の活動期に当たる。

 調査結果をまとめた研究者らの論文(16年発行の日本地質学会学術誌など)や町教委の報告書には「滑動した崖錐(がいすい)堆積物は、斜面を流下して斜面直下の浅い谷を乗り越えた。その際、浅い谷の斜面にある腐食土層・ローム(土壌)をはぎ取った」と記述。地滑り発生の誘因については「地震の可能性が大きい」と分析した。

 地震が原因とする根拠については▽降雨に伴う斜面崩壊では土石流が起きる場合が多く、斜面の成層構造を残したまま移動する地滑りは少ないこと▽火山灰の柔らかい地層が残っていること▽地滑りの発生時期と馬追断層の活動期が重なること―などと指摘している。地震の強い揺れが火山灰層の山林の斜面崩壊を引き起こした今回の胆振東部地震と同様のメカニズムで、数千年前にも大きな土砂崩れが起きていた可能性を示した。

 当時調査に携わった札幌市の地質研究者田近淳さん(64)は「地滑りの誘因を地震とする根拠に対して周囲からいろいろと言われたが、今回の地震で結果的に証明されることになった」とし、厚真町の土砂災害で多数の人命が奪われた中、「もっと情報発信できていれば」と複雑な心境を明かした。

 胆振東部地震を受けて、地震学や地質学などの研究者らが被災地に入り、調査を続けている。自然災害による悲劇を防ぐため、今後、調査の成果を防災に一層生かしていくことも求められている。

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