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訓練実施 初の有珠山噴火災害対処―陸自第71戦車連隊

(下)噴火まで32時間、初動迅速化へ 災害に備え検証継続

2018/7/19配信

 訓練シナリオは有感地震の発生から、噴火に至るまで32時間以内に設定した。前兆から最速で噴火した1977年を踏まえ、陸上自衛隊第7師団指揮下の第71戦車連隊がシナリオを組んだ。教訓にしたのは2000年噴火。人的被害こそ出なかったが、前兆から住民が避難を終えるまで、2日間以上も要したことが反省材料だった。

 重視したのは初動の迅速化。10日早朝に同連隊が訓練を始め、北千歳駐屯地で情報収集を本格化させた。多くの隊員は訓練の細部を事前に知らないまま、統裁部が状況を付与する方式。すぐさま災害派遣命令に備え、偵察小隊などを有珠山周辺に出発させた。災害派遣は行政からの要請に基づくのが原則だが、緊急性などを鑑みて自衛隊自ら行える、自主的な派遣から訓練を進めた。

 伊達市防災センターに連隊指揮所を設け、第1~5戦車中隊が伊達、壮瞥、洞爺湖、豊浦の4市町に前進。偵察部隊は壮瞥公園、ウインザーホテルに陣取り、有珠山を監視して情報を集めた。有珠山周辺を隊員たちが歩いて回る「捜索活動」を行い、実際に登山客らに周知を実践。自主的な派遣のため自衛隊に強制力がなく、情報の提供しかできないことを念頭に、隊員たちは「有珠山の安全化」に努めた。

 11日に7師団が災害派遣を受理した想定以降、初の実動訓練はさらに大展開した。有珠山噴火まで残り2時間を切った緊迫した時間帯の想定では、壮瞥、洞爺湖両町から避難者を移送するため、73式装甲車が各町に2両ずつ出動。各町職員27人が住民に扮(ふん)する中、降灰下でも走れる装甲車が洞爺湖文化センター、壮瞥町役場に駆け付けて救助した。

 さらにはカレーライスの炊き出し、自衛隊救急車による患者の搬送、医官による医療支援などを並行し、隊員約200人、車両約70両の大規模訓練は事実上、27時間以内で滞りなく終えた。西胆振の6市町、伊達署、西胆振行政事務組合など約50人、車両5両も参加し、災害対処への認識を新たにした。

 同連隊の大北知史連隊長は「有珠山は分かりやすい火山。しっかり対処することが使命」と強調し、初の訓練実現にも「迅速に対処できるよう検証し、続けていくことが大事」と気を引き締める。今回の訓練を足掛かりに、関係機関のさらなる連携、認識の統一や共有などを図り、噴火災害に万全を期す構えだ。

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